ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2010.04.12]

オブジェとノイズとダンスのコラージュ、東野作品の強烈なインパクト

東野祥子 構成・演出・振付『VACUUM ZONE』
Dance Company BABY-Q
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東野祥子の作品は、強烈な印象を与えるオブジェとノイズ・ミュージックを舞台上でダンスとコラージュして、観客に強いインパクトを与える。あまり細部にはこだわらないで大胆なタッチで舞台の構図を描いているユニークな舞踊家である。

『VACUUM ZONE』は、ゴミだらけの舞台に黒い頭巾を被った怪しげな人間たちがうろつく、というオープニング。そして紅い羽毛で覆われたトップに両足をむきだしにヒール履いた東野が、二羽の赤い鶏冠の生きた鶏を抱えて登場。鶏をゴミ山の中にに放置する。背後の天空にはゴミの塊が巨大な怪鳥のような姿をさらして浮かんでいる。ゴミの中から拾い出された小さなテレビが下手に上手にはレコードプレイヤーが置かれ、東野はゴミの山からとり出した服に着替えながら踊る。
やがてすべてのゴミが大音響共に崩壊し、強力な吸引力ですべてがブラックホールに吸い込まれていく。テレビとレコードプレイヤーだけが舞台に置き去りにされる。するとテレビが映像を映し出し、東野は残ったプレイヤーにレコードをかけたりしながら踊る。
光を求めているのか、闇に同化したいのか。氾濫する文明の余剰を失って、動きが喪失感を癒すことができるのか。そんな印象を与えるシーンだった。
ギクギクしたり、突発的に激しく動いたりする東野のソロは、彼女独特の魅力は湛えている。自分の身体をまるでオブジェのように扱うぶっきらぼうでアナーキーな雰囲気が、じつに今日的に感じられる。ただこの演目は、衝撃的なヴィジュアルと崩壊と回帰の音楽でドラマティックに構想されていて、スぺクタキュラーなものだった。
(2010年3月7日 シアタートラム)

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撮影:Banri
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