ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2010.04.12]

「果実のように丸ごとダンスがいい」山田うんのニュアンスのある動き

山田うん 振付・構成・総合演出『ショーメン』
Co.山田うん
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Co.山田うんは、2002年に山田うんが設立したダンスカンパニーだが、すでに14作品を海外も含めて発表しているという。
今回の新作は『ショーメン』。正面があって後ろがある舞台ではなく、「正面のないものをやりたい、どこからみても正面になるものをやりたい」「果実が丸ごと果実であるように丸ごとダンスがいい」という発想から創られた舞台である。配布されていたこの公演のチラシは半透明のトレッシングパーパーで、タイトルのショーメンが反転して印刷されていた。裏から見ると「ショーメン」と通常に読める。観客にも、いつも正面が当たり前に正面にあると思わないでほしい、という示唆なのだろう。

フロアー全体に白いリノリウムを敷いて、天井は全面、稲穂で覆い尽くされている。観客席が360°囲んでいる舞台では、赤いTシャツやノースリーブのトップを着けて、思い思いにデザインしたスカートやパンツを履いた11人のダンサーたちが、オープン前から自由に踊っている。お決まりの観劇マナーをダンサーが踊りながらハンドマイクで告げパフォーマンスが始まった。
不連続と断絶というと大袈裟に聞こえるかもしれないが、11人のダンサーが不規則というか規則性を否定するように、点々と踊り始める。不均等の間隔を開け二人だったり一人だったり、グループだったり、個々だったりしながら、山田うん風の軽いユーモアも感じさせる動きを展開していく。照明はほとんど変化なくスポットなどはまったく使わない。音は断片が時折挿入されるだけだった。おそらくこれが山田うんが感じとっている現実だろう。音はいつしか、せせらぎの音となっていた。そして、八木節とおぼしきリズムにのって全員が踊りまくるエンディングであった。
じつに山田うんのダンスらしく、動き自体に独特のニュアンスがあり、何事も一方的に断定せず、つねにユーモアも感じさる細やかさをわすれない。楽しく見られたコンテンポラリー・ダンスだった。
(2010年3月14日 スパイラルホール)

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撮影:塚田洋一
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