ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.12.10]

ホンモノの踊りみせてやるよ、踊りん坊侍の4作品

能美健志+ダンステアトロン21『Direction of Harmonization』
中村隆彦+チャーハン『skip』
上島雪夫+UESHIMA theater『A day in the life』
島崎徹『Here we are!』(抜粋)
踊りん坊侍3

能美健志、中村隆彦、上島雪夫、島崎徹という、今を時めく錚々たる振付家が集結して、「踊りん坊侍」の3を公演した。
能美健志+ダンステアトロン21は、2003年にフィラデルフィアのダンス・カンパニー、Group Motionの委嘱により振付け、その後も再演している『Direction of Harmonization』を上演した。
オープニングは黒い衣裳のダンサーがそれぞれにポジションを決め、ステップを踏まずに、逆立ちをするなどしていた。やがて、7人のダンサーによる、バッハの「シャコンヌ」の流れる中、「調和の方向」を目指して、様々の動きの組み合わせられたダンスが始まる。能美らしいしっかりとしたムーヴメントによって構成された作品だった。

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中村隆彦+チャーハンは、「一人荒野を、スキップで・・・」という言葉が添えられた『skip』を踊った。こちらは打って変わって、白いロングを着けた女性ダンサーがスキップを踏みながら、次々と舞台の対角線上を横切っていく。明るくリズムが軽やかなステージ。
動きによってセンチメントな感情を楽しく捉えているが、少しビターな感覚も込められている。要所では『乙女の祈り』が流れていた。ラストに置かれた白い花が女性が思い描く美しさを象徴しているかのようだった。

上島雪夫+UESHIMA theaterは『A day in the life』。
夜の公園。虫の鳴き声、車の走り抜ける音、風の音・・・様々な人が何かの想いを胸に踊る。それぞれの踊りはすれ違っても無関係だが、近付いたり離れたり交錯したりして次第にシクロし始めて、やがて全体の踊りが生まれる。その中にカップルができてデュエットを踊る。そしてまたそれぞれバラバラになっていくが、夜の公園には目に見えないなにかが残っているかも知れない・・・というようなダンスだった。素晴らしい圧巻のブレイクダンスも織り交ぜられていたが、6人のじつによく身体の動くダンサーの密度の濃いダンスシーンが繰り広げられた。

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関西に拠点を移していたので、東京公演は久しぶりだと思われる島崎徹は、『Here we are!』(抜粋)を上演した。
ダンサーは総勢18名、うち男性は2名のみ(原田みのる、佐々木信彦)で、全員が白いトップに長めのキュロットで踊りに踊る。リズミカルな曲をメドレー風に使い、二人の男性ダンサーをアクセントにして、溢れんばかりのエネルギーをステージに発散した。舞台背後に並べた18脚の椅子を様々に使って変化をつけ、時折挿入される息をつくための緩やかな動きの他は、力いっぱいのダンスだった。
途中、モッブを持って島崎自身が登場したのはご愛嬌だったし、これなら「ダンスがあまりインテレクチャルになる」ことはないと思わせた。
確かに「ホンモノの踊りみせてやるよ」とチラシに切った啖呵は伊達ではなかった、多くの観客もそう感じたに違いない。ほんと良かった・・・。次回もお楽しみに!
(2009年11月19日 光が丘 IMA ホール)

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撮影:大洞博靖
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