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佐藤 円 text by Madoka Sato 
[2009.10.21]

プロフェッショナル・ダンサー確立目指す THE バレエカンパニー・オブ・横浜

THE バレエカンパニー・オブ・横浜
イントロダクトリー・ガラ公演
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プロフェッショナル・バレエダンサーという職業の社会的地位の確立を目指し、今年9月に設立されたばかりのTHE バレエカンパニー・オブ・横浜 の『イントロダクトリー・ガラ』公演が行われた。オーディションによって選ばれた34名の団員たちに月給を支払い、バレエダンサーとして生活できる、才能のあるダンサーが日本で活躍できる社会を目指すそうだ。芸術監督は牧阿佐美バレエ団、バレエ・シャンブルウエストで活躍した井上欧輔。
初公演はガラ形式のお披露目公演である。

オープニングは群舞作品。幕開けは団員全員がそろいのルネッサンス風のトップスになった、グリーンのチュチュで現れ同じ動きを魅せる。その後パートに別れ、ダンサー一人ひとりのテクニックをみせるような構成だった。観客に自己紹介といったところだろうか。

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続いてデン・ミーとジャン・カイによる『海賊』のグラン・パ・ド・ドゥ。この二人は中国人で元・中国国立バレエのソリストという経歴。長身で手足が長く舞台栄えのするカップルである。ダイナミックなジャンプと優雅な身のこなしで観客を魅了していた。アームスに硬さがあるものの華のある二人は今後が楽しみである。
『ドン・キホーテ』のグラン・パ・ド・ドゥを踊ったのは佐藤香とピーター・マトカイチェク。佐藤はテクニックが安定している。派手さはないが堅実な踊りで、表情も豊かに魅惑的なキトリを踊った。
ピアソラの音楽に乗って『ブエノスアイレス』を披露したのはニコラ・サマンソとベンジャミン・バラダ。二コラは身体にフィットしたワンピース姿。スカートに深くスリットの入ったセクシーな衣裳だ。ベンジャミンはシャツにパンツといったシンプルなスタイルでアルゼンチンタンゴのステップを取り入れ、大人の妖艶なダンスを見せてくれた。クラシック作品ばかりの中で、スパイスとして公演を引き締めたパ・ド・ドゥだった。

最も観客が沸いたのは『パリの炎』。超絶技巧をみせるこの作品を踊ったのは辻翔子と茂木恵一郎。茂木は国内コンクールで数多く入賞している実力者でテクニックが素晴らしい。アダージオ、ヴァリエーション、コーダのすべてを全力で踊っていた。高く美しいジャンプ、いつまでも回っていられそうなピルエット。彼は今回の舞台でもっとも輝いていた。

他には『ラ・シルフィード』『くるみ割り人形』のパ・ド・ドゥが踊られた。エンディングには再び団員が勢揃いし、各々得意な技を披露し、大歓声の中幕を閉じた。

ガラ公演だったためバレエ団のカラーを感じることは難しかったが、今後全幕ものでバレエ団としてどのようなカラーを生み出していくのかを期待したいところ。
この新しいバレエ団は来年1月から『コッペリア』で全国を回るそうだ。年明けがバレエ団としての本格的な始動となる。 (2009年9月25日メルパルクホール/Photo by Watanabe)