ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Tokyo <東京>: 最新の記事

From Tokyo <東京>: 月別アーカイブ

関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.10.13]

『小島章司 魂の贈り物』

Flamenco Live Vol.3 desnudo
tokyo0910e01.jpg

ARTE Y SOLERAを鍵田真由美とともに主宰する佐藤浩希が大先輩の小島章司の門を叩き、ほかの4人の男性ダンサーとともに実現した公演である。
フラメンコ舞踊が様々な時代的な影響を受けて変貌を見せる中、1966年に「一人前になるまで帰国しない」と誓って横浜港を出発し、スペインで本格的な舞踊修行を積んだ小島に師事した佐藤。喜んで次代のための「腐葉土」になるとまで言って、ふところに受け入れた小島。日本とスペインの文化にとって、まことに慶賀すべき出来事である。虚しいつばぜり合いばかりを繰り返しているくせに、ぶんか、ぶんかと声高に叫ぶ輩には、つめの垢でも分けてあげて欲しい。
それはともかく、公演会場は急坂の中途にある品の良いライヴハウス。かなり明るいが平土間にパイプ椅子を並べた観客席は、スペインのタブラウを思いこさせなくもないスペースで、時には汗のしぶきを浴びるかもしれない、と思わせる至近距離でダンサーが踊る。
 

tokyo0910e02.jpg

オープニングは『歓喜の歌』。白い衣装の小島を囲んで黒い衣装の佐藤を始め、矢野吉峰、末木三四郎、関晴光、松田知也が、師を迎えた喜びを踊った。「舞踊戦士」小島章司に敬意を込めて佐藤たちが振付けた、という。
『ファルーカ』は、佐藤ら5人の黒い衣装を着けた男性ダンサーが小島直伝の振付を踊った。基本は2人と3人を連ねたフォーメーションで、勇壮なたくましさを前面に押し出した動きだった。
『ハレオ エストレメーニョ』は白い上衣を着けたデュオ。同調するデュエットを繰り返しながら、競い合う踊りとなり、ついには一体化するかのような古風な味がするダンスだった。
『ソレア』は佐藤を中心とする3人のダンサーが、中央の赤と左右に黒と紫の衣装を着けたダンス。この3人はテクニシャンで、一人ひとりの細かい動きにニュアンスがあり、かつ3人のアンサンブルにもなかなかの見応えがあった。
そして最後の演し物『トナ・イ・シギリージャ』は黒いロングを着けた小島章司渾身のソロだった。若き日に重ねたタブラオの修行の想いを込めたのか、フラメンコ一筋の人生のすべてを、次なるダンサーたちに入魂させようとするのか、小島の身体は小指の先からつま先まで一葉の芭蕉のようにあるがまま自然にそして自在に生命の息吹を詠った。ダンスとは命そののものなのだ、と5人の男性ダンサーに語りかけるかのように。
カーテンコールでは、小島がそれぞれのダンサーとコンタクトを交わして、喝采の鳴り止まぬ「日本」のタブラオは灯を落したのである。
(2009年8月27日 代々木上原 MUSICASA/撮影:川島浩之)

tokyo0910e03.jpgtokyo0910e04.jpg