ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.09.10]

松崎えりの新作『rooms』のコンテンポラリーな空間に漲る情感

松崎えりNOON DANCE PERFORMANCE 『rooms』
バレエ団ピッコロ
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松崎えりが2000年から行っていて、パリやケルンでも作品を発表しているダンスプロジェクトのnoon。彼女の演出・振付による新作『rooms』は、松本大樹、森本由布子、大嶋正樹、小出顕太郎、増田正也と松崎自身が出演した。

まずact1の会場は、道路に面したギャラリー風サテライトスペース。ここではオープニング風のダンスが30分ほどフリー(入場無料)で踊られた。4脚の椅子と白い衣装を着けた男性4人と女性2人ダンサーが踊り、通りがかりの人々が足を止めて見入る。スーパーカブに乗ったいかにも仕事中の格好の男性が、じっと興味深げに見守るさまは、'noon dance performance’ にいかにもふさわしい光景だった。

act2は、地下1階のアートスペースに場所を移して踊られた。観客も一緒に移動するのだが、視点と舞台空間をまったく変えるので新しい興味と期待が沸いてくる。
やや歪んだ変形の舞台だったが、下手の背景の上方に光で描かれた窓が設定されている部屋で、日常的な感覚が断続して踊られる。ソロやデュオ、トリオなどが衣装の色調を変え、洗練された愛のスケッチや自然の恵み、あるいは激情のダンスなどがコラージュされて、コンテンポラリーな空間に豊かな情感を漲らせる。そして様々な曲折を経た6人の男女のダンサーは、日常性の中に再び自分たちの居場所を見つけてその存在を収めていくのである。音楽はバッハ、ケージ、ヴィヴァルディほかが使われていた。
動きはそれぞれのシーンで変化があり、照明や衣装の色彩のトーンともなかなかうまくマッチしており、ひとつの空間の中で想起するそれぞれの感情の流れが、過不足なく描かれていてバランスの良い構成だった。
(2009年8月5日 LAPINET HALOT/写真 (C) 塚田洋一)

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