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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.08.10]

鳳蘭主演、シャネルの波瀾の人生を描いたブロードウェイミュージカル『COCO』

ブロードウェイミュージカル『COCO』
脚本・作詞=アラン・ジェイ・ラーナー、作曲=アンドレ・プレヴィン
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喪服でしか使われなかった黒を都会的なモダンなカラーに、下着にしか使われなかったジャージーを着心地の良いドレスに、ショルダーバッグやイミテーション・ジュエリーを流行させ、「シャネルNo.5」は世界的大ヒット、はたらく女性のためにあらゆるモードを一変させ、著名な人々との華麗なる交友関係と恋多き波瀾に富んだ人生をおくり、20世紀の女性の生き方に大きな影響を与えたココ・シャネル。
そのシャネルの生涯をオスカーを史上最多の4回も受賞した大女優キャシャリン・ペップバーンが演じたミュージカル『COCO』は、1969年ブロードウェイで幕を開けた。脚本と歌詞は『マイ・フェア・レディ』のアラン・ジェイ・ラーナー、作曲アンドレ・プレヴィン、振付は『コーラス・ライン』のマイケル・ベネットによる『COCO』は、1年間のロングランを記録し、トニー賞6部門のノミネートされ2部門受賞した。
そして40年の時を経て、鳳蘭主演によるりブロードウェイミュージカル『COCO』が東京に甦った。

1930年代には4000人以上の従業員を使って世界に君臨していたシャネルは、第二次世界大戦の勃発とともにメゾンを閉鎖。シャネルは引退してスイスに引きこもってしまった。
その15年後の1953年、70歳になったシャネルはパリのカンボン通りにあるメゾン・シャネルで、復活を掛けたコレクションを開催しようとしていた。
周囲の人々は、時代は変わった、シャネルのファッションはもう古い、という。そして新進デザイナー、セバスチャン・べアール(岡幸二郎)を雇って新奇なデザインを使おうとする。しかしシャネルは、あくまでCOCO自身の才能で勝負しようと決心する。
再起を掛けるコレクションを進める中で、シャネルは若いモデル志望のノエル(湖月わたる)が幼い時の彼女の境遇に似て孤児院の出身だと知る。孤独を愛したシャネルも母のような感情を抱き、ノエルに女性として自立して生きて行くことを教える。
パリでは酷評を受けたシャネルのコレクションも、はたらく女性の多いアメリカで絶賛されて大成功を収める。そしてシャネルは、これからの人生をノエルとともに生きて行こうとするのだが・・・

鮮やかな大きな布地を背景に垂らして、モードの世界に君臨したシャネルの人生を象徴した舞台。強い意思で男性を押しのけ堂々と生きるシャネルと孤独な影を宿したシャネルを、鳳蘭が見事に演じている。そしてやはり、宝塚の出身で星組のトップスターとして鳳蘭の後輩にあたる湖月わたるが、劇中でも同じような立場でノエルを活き活きと演じている。
ラストシーンでは、思わず溜め息をつきたくなるような深い感慨を感じさせる素敵な舞台だった。

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(2009年7月14日ル テアトル銀座/写真(C)Quaras )