ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.07.10]

パフォーマンスの楽しさを満喫!谷よう子のバースディコンサート

谷よう子『Yoko〜O! Birthday』
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シルク・ド・ソレイユのアーティスティック・ディレクターも務める谷よう子が、2007年に続いてバースディのダンス・コンサートを開催した。前回同様にじつにフレンドリーな雰囲気の中に、次々と楽しいダンスやパフォーマンスが現れる祝福のコンサート。谷よう子自身のソロや振付作品に加えて、様々のジャンルの優れたパフォーマーたちがゲスト参加して、ダンスだけの舞台では味わうことのできない瀟洒なエンターテインメントを楽しむことができた。
人形に語りかける形で始まったプロローグに続いて踊られた谷のソロ『遠い国』。これは前回も踊られたが、田舎の父母が故郷を離れて活動する愛娘に贈るナレーションをバ
ックに、ダンサーとしての谷の胸中を表すもの。単身、ドイツやカナダに渡って舞踊家として活躍する谷の自立と家族への想いが交錯して踊られた。
谷は、ミツバテクニックのスピリットを基本としているが、型にとらわれない自由な表現で、感情を身体の即興的な動きに込めて自在に表していく。ダンサーのエネルギーが劇場の空気の柔らかい波動となって観客席に伝わってくる。
『A SPOT OF MY DREAM』は、人間の存在を感じさせない自然の海や森の映像を使い、夢の中の感覚をダンスで表し、月面を歩く宇宙飛行士が感じるような命の息遣いを伝えようと試みていた。
 

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それから『え?知るひーと?』は、純白のチュチュを着けてシルク・ド・ソレイユなどで活躍するクラウン役者、アナトリーと『ラ・シルフィード』の森の中のシーンを踊る。
クラシック・バレエの動きとクラウン芸が、じつにいい雰囲気を醸して「なるほど」と肯かせた。日本のダンスシーンだけに目を向けていたのでは生まれてこない発想だろう。さらにソロのシーンになると、クラシックのパの窮屈さを茶目っ気たっぷりに大仰にみせて笑いを誘った。そして最後には、大好きな『ラ・シルフィード』を踊るためにこのチュチュを作ったが、両足を捻挫して踊れず、今日初めて披露する、と自身の人生をパロディにしてみせた。
『WOMEN』は11人の女性ダンサーに谷が振付けたもの。私などにはあまりうかがい知る機会のない女性という存在の襞を、細やかにしかしなかなかダイナミックにダンスによって繰り広げた。特に、真紅の口紅を顔に塗り広げてみせ、奔放な情感を露にした表現が印象に残った。
ゲストも多彩で、先ほども触れたクラウン芸にタップもみせたアナトリー、クーペ&SHIFOの歌と演奏も素敵だった。前回も登場した縄跳びの至芸、バトントワラーズも明るく花を添えて、バースディ・コンサートは「最高のプレゼント」となるブラボーの声とともに幕を閉じた。
(2009年6月11日 パルティノン多摩 小ホール)

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