ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.07.10]

鋭いサウンドと濃密なソロ・ダンス 東野祥子『----MESs----メス----』

東野祥子『----MESs----メス----』
LITTLEMORE CHIKA
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原宿の地下、白い壁面に囲まれた不定形な小空間。白いフロワーには不規則な傾斜がある。宇宙に行くようなフルフェイスのメットとメタリックなシルバーのワンピース、赤いセクシーなピンヒール。裸電球が吊るされ、細長い鏡が無造作に立てかけてあるだけの素の舞台で、東野がもがくように蠢く。
レーザービームが走り、LEDがキラめく中、ウウッと呻き声があがる。悪夢の中、イリュージョンに苛まれているのだ・・・。
東野祥子のソロは、自身の演出・振付とサウンド・パフォーマンス・アーティストのカジワラトシオとのコラボレーションだった。

メットを脱ぐと悪夢の実在感が東野の「女」を露にした。カジワラの強烈なサウンドの中、身体をコントールする感覚を確かめるように動く。
そしてフロワーにとぐろを巻いていた真紅のコードが絡み付いて、のたうち回る東野。思いがけずシュールな美しいシーンが見られた。また舞台に登場したカジワラが、甲高い機械音のようなビニールテープを剥く鮮烈な音響を響かせながら東野をがんじがらめにするシーンも印象的。フォーサイスの『エイドス:テロス』の強度の音響を想起した。サウンドは、現れ方によって想像を超える表現力を持っている。

一体<M>なのか<S>なのか。平常な神経が支配する異常な空間で、<MESs>の孤独が炸裂し、すべてがエネルギッシュで美しい。鋭いサウンドが充満する緻密な空間に、メスのスピリットが解放されて観客と対話した。
お仕着せの味気ない大きな空間では、絶対に上演して欲しくない濃密なパフォーマンスだった。

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(2009年6月13日昼 LITTLEMORE CHIKA/写真(C)真田敬介)