ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.04.10]

モノクロームの濃淡で豊かな色彩を感じた
クラウド・ゲイト・ダンスシアター『White』

雲門舞集 Cloud Gate Dance Theatre of Taiwan
林懷民(リン・ファイミン) LIN Hwai-min 『White』
リン・ファイミン振付『White』
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 創設者にして芸術監督のリン・ファイミン率いるクラウド・ゲイト・ダンスシアターが来日し、3部構成の『White』を上演した。
 このカンパニーは1973年に創設され、当初は昆劇や京劇などを題材とした作品を上演していたが、近年はアジアの文化や美からインスピレーションを受けたイメージを、中国の身体性とコンテンポラリー・ダンスの動きを融合した表現によって展開した作品を発表して、国際的にも高い評価を受けている。
『White』の第1部は、1998年に台湾の成熟したダンサーたちのカンパニー、台北クロスオーバー舞踊団に振付けたもので、2006年に台北で初演した第2部と第3部を合わせてひとつの作品としている。音楽は第1部がスティーブン・スコットの『ミネルヴァの網』、第2部はアレックス・クラインの『火花のごとく舞い上がる』、第3部は権代敦彦の『終りのはじまり/終りのあとで』。ジャズ、クラシック、現代音楽という音楽の構成になっている。
 第1部のセットは、背景に白い布を異なった長さで吊るしたもので、時折、一人のダンサーが中国の横笛を吹きながら現れ消える。動きはゆったりと落ち着いた流れの中で踊られる。第2部では、黒くむき出しの照明のバーが舞台上に低く下げられる。黒いスティールの棒を使った踊りがあり、ステージのフロアを覆い尽くすような黒い大きな布が、天から吊るされ下でダンサーたちは踊る。第3部のフロアは白く、白い空間の背景には薄く滲んだ太陽のような輪が映っている。
 舞台の照明と空間のデザインはシンプルだが、大きく大胆に変化する。
 ダンサーの動きは、ヨーロッパともブラジルともアフリカとも異なった、アジアの身体のリズムを刻んでいる。腕と手を手刀のように鋭く振ったり、ステップは武術のようにしっかりと踏み出し、大地を足で掴まえるようにして立ち、上半身の形を整える。
 ダンサーたちの日々の訓練は太極導引(古代の気功のホーム)、武術、モダンダンス、バレエ、書道などとともに、瞑想も採りいれられているという。確かに、クラウド・ゲイト・ダンスシアターのダンサーたちは、ステージの上では瞑想する自身と対話をしながら踊っているかのように、動き自体にスピリチュアルなエネルギーが込められている。
 ダンサーの衣裳はすべて白か淡いベージュ。セットもすべて白と黒で構成されているが、モノクロームの濃淡によって豊かな色彩を感じさせるダンスだった。
(2009年3月5日 オーチャードホール)

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