ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.04.10]

ジュリエット・ビノシュ & アクラム・カーン『イン・アイ』
ビノシュ、ダンスに挑戦!

Juliette Binoche & Akram Khan 『in -i』
ジュリエット・ビノシュ & アクラム・カーン共同演出・出演『イン・アイ』
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 インドの古典舞踊カタックとコンテンポラリー・ダンスを融合させたダンスを創って、注目を集めるアクラム・カーンは、ロンドン生まれだが国籍はバングラディッシュ。2006年に女王、シルヴィ・ギエムとデユエットで『サクルド・モンスター』を共演し、世界的に名前を知られることになった。
 カーンは今回、映画『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー賞助演女優賞を受賞し、『ショコラ』では主演女優賞にノミネートされたジュリエット・ビノシュと共同演出による『イン・アイ』を上演した。

 舞台は2脚の椅子が置かれただけで、壁に照明が当てられて窓やベッドが現れたりする極めて簡素なセット。椅子はトイレになったり様々の家具を表すものとして使われる。観客は、文化的背景の異なった男と女が愛し合うことができるのか、といった素朴な実験が行われる現場に居合わせたような気持ちになったかも知れない。
 習慣の違いや肩書きや役割など社会的な世俗的な関わりを越えて、二人は愛し合うことができるのか。ダンスと演技とマイムと台詞によって二人の関係は深まっていくが、本質的なところでお互いに受け入れることができただろうか・・・・。
 もちろん、カーンが合わせていると思われるが、ビノシュがカーンと同じテンポで動き、演技し、踊っているのには感心させられた。自身に深く問いかけるカーンの演技もまた見事だった。
 45歳でダンスに挑戦したビノシュの女優としての演技力と、他にもカイリー・ミノーグなどの人気アーティストとの共演も多い、ダンサーとしてのカーンの表現力が、バランス良く拮抗したなかなか興味深い公演だった。
(2009年3月11日 シアターコクーン)

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