ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.01.13]

岡登志子と高瀬アキによるアンサンブル・ゾネの新作『Still moving』

 アンサンブル・ゾネを主宰する岡登志子が、ヨーロッパを中心にジャズ・ピアニストとして活躍している高瀬アキとのコラボレーション作品『Still moving』を初演した。
15名のダンサーと高瀬アキのジャズの即興を駆使したライヴ演奏が、丁々発止と共鳴するなかなか活気あふれるダンスだった。

 舞台には、無造作にまとめた大きなラップが何重にも重ねられ、救命ボートのように天井から吊るされている。15名のダンサーは、ソロから何人ものグループまで様々な組み合わせでアンサンブルを次々と成して、速いテンポで展開して行く。
鍵盤以外も積極的に使う高瀬のピアノの即興性に呼応して、ダンサーたちの力強い動きや身体自体のプリミティヴな動きが反応し、足がフロアを叩いて動きのリズムを刻む。
すると突如、舞台の袖などあちらこちらから白いピンポン球がいっせいに投げ込まれる。高瀬もピアノ越しに投げ込んでいたが、無数のピンポン球がフロアにランダムに弾み、乾いた音が交錯して響き合う。
そしてラストシーンでは、天井からボート状のラップに塊がいくつか落下してきて、ピンポン球を蹴散らしながらフィナーレを踊るダンサーたちを包み込む。 ラップの皺がダンサーやフロアと擦れて無原則な奇妙な音が一挙にあふれ、高瀬のピアノが強烈に供応する。ライヴ演奏と無原則な音と動きの混沌が描く、ジャ ズの即興的感覚をダンスで楽しむ、という非常に興味深い舞台だった。
(2008年11月29日 シアターΧ)