ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Tokyo <東京>: 最新の記事

From Tokyo <東京>: 月別アーカイブ

関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2008.12.10]

スターダンサーズ・バレエ団の『セレナーデ』『リラの園』『火の鳥』

 スターダンサーズ・バレエ団がバランシン/チャイコフスキーの『セレナーデ』、チューダー/ショーソンの『リラの園』、遠藤康行/ストラヴィンスキーの『火の鳥』を上演した。
『セレナーデ』は、周知のようにバランシンが新天地アメリカで最初に振付けた作品。バレエを学ぶ生徒たちにが舞台で踊るテクニックを習得するために創った。
何もない素の舞台に、淡いブルーのトップと純白のロマンティック・チュチュを着けた若いダンサーたち。そのフォーメーションを組んだ立ち姿が、伸び競う 新緑の若芽のように初々しく美しい。その感覚そのままに踊られて、フォーメーションが変化し、ソロやパ・ド・ドゥなども踊られていく。
ここには、豪華なセットも目を欺くような凝った演出もないが、長くバレエを踊る人たち、鑑賞して楽しむ人々に愛され、数限りなく上演されたきた。バラン シンもディティールにこだわって何度も振付を手直しした、といわれる。このような作品もある。ニューヨーク・シティ・バレエ団で踊ったベン・ヒューズが振 付指導を行った。

『リラの園』は、アントニー・チューダー生誕100年を記しての上演。また、1965年にオール・チューダー・プログラムを公演したことが、スターダンサーズ・バレエ団設立の契機となったことも良く知られている。
この作品は、愛のない結婚を強いられたカロラインと愛人、そして彼女の婚約者と彼の愛人だった女性、その4人が織り成す心理の綾をリラの香りが漂う黄昏 の庭園で繰り広げる小品。70年以上前の1936年に英国で初演されたが、未だに色褪せることのない濃密な表現力には感服させられる。カロラインを小池知 子、その愛人を福原大介、カロラインの婚約者を東秀昭、彼の過去の女を天木真那美が踊った。振付指導はアメリカン・バレエ・シアターで踊ったアマンダ・ マッケロー。

『火 の鳥』は、スターダンサーズ・バレエ団の総監督も務めた遠藤善久が、日本映画を世界に紹介したことで知られるドナルド・リチーの舞台構成に基づいて振付 け、1982年に初演された。昨年、このバレエ団の創設者、太刀川瑠璃子の80歳を記念した公演で、振付者の子息でマルセイユ・バレエ団で活躍する遠藤康 行が改訂して再演された。
リチーの構成は、金のリンゴのエピソードを省いているのでシンプルで分かり易くなっている。しかし、ロシアの民話に潜む神秘的な魅力が損なわれた気がしないでもない。
振付は、今回の上演にあたってさらに手直しが行われ、いっそう説得力のあるものとなった。火の鳥は林ゆりえ、王子イワンは新村純一が踊った。
20世紀のダンスを継承発展させていく姿勢を明確にしているスターダンサーズ・バレエ団のこれからに、大いに期待したい。
(2008年11月15日 ゆうぽうとホール)