ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2008.11.10]

牧阿佐美バレヱ団、三谷恭三の改訂による『ライモンダ』全幕

 牧阿佐美バレヱ団は、1979年にテリー・ウエスト・モーランド版の『ライモンダ』全幕を日本で初めて上演した。その後、再演を重ねたが、1997年を最後に上演されていない。
今回は、総監督の三谷恭三が新たに改訂演出振付を施して、11年ぶりに上演した。
テリー・ウエスト・モーランドは、ロイヤル・バレエ時代に知った革命以前のロシア・バレエの原典を尊重し、中世フランスの時代考証も綿密に行っている、 という。三谷版もそうしたモーランド版の優れた点を継承して、舞台美術も非常にしっかりと創られており、オーソドックスな格調の高い舞台だった。

 前回の公演を知るダンサーもほとんどいなくなったそうだが、そのためか、舞台には初演を踊っているような緊張感が張りつめていた。しかし、ライモ ンダを踊った青山季可は、非常に落ち着いた丁寧な踊りが際立っていた。第1幕の終局の肖像画からジャン・ド・ブリエンヌが姿を現し、ライモンダと踊る幻想 シーンは、ロマンティック・バレエの雰囲気が感じられて美しかった。
第2幕で活躍するアブデラクマンに扮した菊地研は、エネルギッシュで激しい情熱を踊ってみせた。
そしてやはり、第3幕の結婚式のシーンが良かった。第2幕のアブデラクマンの欲望を背景にした宴とはまったく異なった、豪華で色鮮やかな魅力的な雰囲気にあふれた祝典だった。
青山のライモンダと逸見智彦のジャン・ド・ブリエンヌのカップルは、プロポーションの整った美男美女ぶりを活かして、見事なグラン・パ・ド・ドゥを踊っ て舞台を締めくくった。ライモンダの友人ベランジェと第3幕のパ・ド・トルを踊った今勇也が素敵な踊りで印象に残った。
(2008年10月26日 ゆうぽうとホール)