ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2008.11.10]

谷桃子バレエ団の「古典と創作」12.

 谷桃子バレエ団が「古典と創作」シリーズの12回目として、『タンゴジブル』と『眠れる森の美女』第3幕を上演した。
『眠れる森の美女』は鈴木和子が再振付し、全幕のレパートリーとして制作していくとのこと。第3幕は、オーロラ姫の佐々木和葉とデジレ王子の今井智也を中心に踊られた。(24日は永橋あゆみと三木雄馬)この作品は全幕上演の際にご紹介させていただきたいと思う。
 モスクワ音楽劇場で踊り、近年はしばしば振付作品を発表している日原永美子『タンゴジブル』は、「古典と創作」シリーズの5回目で初演されたものをさらに練り直している。
ダークな色調の抽象的な模様の壁を鋭角的にカットした背景。この都会的な幻想空間に、キンテート・オセイロ(ヴァイオリン、バンドネオン、ピアノ、ギ ター、ベース)のピアソラ、ガルデルなどの曲の生演奏が流れる。椅子を使ったり、黒と赤を強調したタイトな衣裳を着けたダンサーたちのダンスが展開した。
9つのパートに分けられ、2組のカップルやトリオ、女性8人、女性一人に男性4人からソロなど、変化に富んだ構成により、タンゴの様々な表情が踊られる。
舞台上のヴァイオリニスト(近藤久美子)に、機智に富んだやりとりの末に一輪の真紅のバラを捧げる、岩上純の表情たっぷりのダンス「ニョン」、高部尚子 を男性ダンサー4人が女王様のように崇める「ブエノスアイレスの春」、黒のロングドレスで悠々と踊った朝枝めぐみの「想いのとどく日」、伊藤範子と斎藤拓 のパ・ド・ドゥ「ブエノスアイレスの冬」などが印象に残った。
そして、フォーメーションがつぎつぎと速いテンポで変化する、全員が参加したフィナーレで幕が降りる。
流れの良い良く整えられた素敵な振付だったが、優れたダンサーが揃っているし、もうひとつ大胆な試みもみせてもらいたい、という気がしないでもなかった。
(2008年10月23日 めぐろパーシモンホール)

撮影:スタッフ・テス 飯田耕治