ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2008.11.10]

リンゼイ・ケンプが13年ぶりに『エリザベス1世~ラスト・ダンス~』

 80年代から90年代にかけて、シュエイクスピアの『真夏の夜の夢』やジャン・ジュネの『花のノートルダム』にインスピレーションを得た『フラワーズ』を上演して、日本の舞台芸術に衝撃を与えたリンゼイ・ケンプが、13年ぶりに来日。
16~17世紀にかけて、およそ45年間にもわたってイングランドの君主として君臨し、<ヴァージン・クィーン>と呼ばれたエリザベス1世を演じた。
映画化もされて話題を集めるエリザベス1世は、スペインの無敵艦隊を撃ち破って、七つの海を支配したといわれる大英帝国の礎を築いたイングランドの女 王。エリザベスは3歳の時に母親アン・ブーリンが断頭台で処刑され、13歳の時に父ヘンリ-8世と死別し、1558年プロテスタントの女王として即位し た。

 リンゼイの舞台は、死を迎える直前のエリザベスが、レスター伯ダドリーやフランス王の子息、フランソワとの恋、いとこのスコットランド女王メアリーの処刑、そして34歳年下エセックス伯デヴリューとの恋と彼の反逆などの波瀾に満ちた生涯と対話を交わすシーンから始まる。
ダンスを愛したエリザベスは、彼女の生涯を彩った亡霊たちをもてなすかのように最後の生命力を輝かせて、ラスト・ダンスを踊る。
かつてのリンゼイの教え子で、アカデミー賞衣裳デザイン賞受賞者のサンディ・パウエルの素晴らしい衣裳を纏った登場人物たちは、衣裳の圧倒的存在感とコ ントラストをなして、まるで亡霊のように舞台を動く。エリザベスの幻想の中で、彼女と華やかに踊っているのである。それはつまり、「ダンスこそが人生であ る」というリンゼイの言葉をそのまま表している。
(2008年10月4日 シアターコクーン)