ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2008.10.10]

馬場ひかり ソロ・ダンス『神話のデモンタージュ』

 芙二三枝子舞踊団や馬場ひかりダンスプロジェクトなどで活躍している、馬場ひかりが、昨年の『夜叉ケ池』に続いてソロ・ダンス公演『神話のデモンタージュ』を上演した。
ギリシャ神話をモティーフとして、「ガイア」「パンドラ」「迷宮」「メデューサ」「イカロス」「アプロディテ」「人」などを構成し踊った。

 オープニングは、軽いユーモアを感じさせる音楽とともに、下手奥からスベリ台のように斜めに降ろされた板の上を、頭を下にしてスベリ降りて登場。この一風変わった登場の仕方からも、作者の、神と人間の奇妙なしかし興味が尽きることのない関係の捉え方が垣間見えた。
動き、衣裳、音楽、照明のすべてを象徴的に、しかもバランスよく組み立てて、いくつかの神にまつわる話が踊られた。
上手奥から下手手前の対角線上をゆっくりとまるで水中歩行のように進み、太陽の色の変化とともに落下する「イカロス」。激しくドラマティックな感情をそのまま表したようなアプロディテの動き。人間とはまた異なった神々の独特の動きを創ってこの作品を特徴付けていた。
そしてラストの「人」が、神々に感謝の気持ちを素直に捧げるシーンは、落ち着いた良い印象を残した。
「小さな悲しみや、苦しみを背負いながら、愛し、愛され、生きていく私たち人間」と、その人間を超えた得体の知れない存在が奇妙に絡み合う神話の世界を、ソロ・ダンスによって手際よく創った舞台だった。
(2008年9月25日、俳優座劇場)