ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2008.07.10]

牧阿佐美バレヱ団の『ドン・キホーテ』

青山季可、菊地研
  牧阿佐美バレヱ団の『ドン・キホーテ』は、アザリー・プリセツキー、ワレンティーナ・サーヴィナの演出・振付。1989年に初演され、今回が3年ぶり8度目の再演となる。
キトリとバジルはトリプルキャストが組まれたが、吉岡まな美、青山季可、橋本尚子の3人ともキトリが初役、というフレッシュな組み合わせとなった。私は、青山季可のキトリと菊地研のバジルで観ることができた。もちろん、『ドン・キホーテ』では初顔合わせ。

青山と菊地が二人で踊るシーンには、要所にリフトが配されていて活力のあるコンビネーションが生まれた。特に、グラン・パ・ド・ドゥでは、菊地の素早い男性的な動きと青山のゆったりとした女性的な動きがうまく調和して、盛り上がり喝采を浴びていた。

ストーリーは、キトリとバジルの結婚が決まるまでを一気に観せて、ドン・キホーテの夢のシーンとなり、最後の公爵家での結婚式のシーンへとスムーズに展開する。
エスパーダやジプシーたちの活気溢れる踊り、特に、京當侑一籠や塚田渉、清瀧千晴、今勇也、オトゴンニャムなどのソリスト級が踊ったマタドールの踊りはエネルギーに満ちていた。

2幕2場のドン・キホーテの夢は、常に、扇の要の部分に当たる中央の奥にドン・キホーテを控えさせて、シンメトリーを基本にヴァラエティに富んだ美しい フォーメーションを構成してみせ、なかなか格調高く見応えのあるシーンだった。終末観に取り憑かれたり焦燥感に駆られていない、ソヴィエト・バレエの全盛 時代のような、建設的にじっくりと仕上げていく、古典的な香りのあるバレエ・シーンを観て、いささか安らかな気持ちになることができた。

確かに、古典作品でも時代に応じて変貌していくのであろう。しかし、時には、時代を戻ってみると、案外、現代が見えてくる、温故知新ともいうのである。
(2008年6月14日、ゆうぽうとホール)

青山季可、菊地研青山季可、菊地研