ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2008.06.10]

松山バレエ団『眠れる森の美女』

松山バレエ団がゴールデンウイーク期間中に、設立60周年公演の一環として『眠れる森の美女』を上演した。
松山バレエ団の『眠れる森の美女』は、原振付マリウス・プティパ、演出・振付ルドルフ・ヌレエフに基づいて、清水哲太郎が構成、台本、演出、振付を改訂 している。ルネッサンス期のヨーロッパの貴族文化を背景として、愛をめぐる善と悪との相克を、神と人間の世界をからめて描いている。

 プロローグは、妖精たちによる王女オーロールの名付けの祝宴、第1幕はオーロール姫の16歳の誕生パーティ、第2幕はデジレ王子の国の建国60周年を祝 う野外パーティ、第3幕はオーロール姫とデジレ王子の結婚を祝う祝賀会、と当時の貴族社会のセレモニーを背景として物語が進展していく。
それぞれのセレモニーにコントラストをつけて、その特徴を生かしたダンスが踊られている。特に、アウトドアで踊られる第2幕の紳士淑女のおどりは印象的 だった。また、第2幕ではデジレの幻想の中に、オーロール姫とデジレ王子の出会いが描かれるが、この一連のシーンの演出は優れた流れだった。
『眠れる森の美女』では、どうしてもローズアダージオなどのシーンにばかり関心が集まるが、清水哲太郎版は第2幕がしっかりと創られている。

圧巻は第3幕のグラン・パ・ド・ドゥである。
通常は、様々なデヴェルティスマンが踊られるシーンを、青い鳥と猫だけにして、パ・ド・サンク、サラバンド、ポロネーズによる構成も良かった。そして森 下洋子は、登場しただけで光り輝くばかりの16歳の姫君の美しさを全身で表現している。落ち着いて、水も滴らんばかりの華麗さ、そのうえ豪華に、小柄な身 体ながら舞台空間全体を圧倒するようなオーラを発しつつ、至福の踊りを踊った。
(2008年5月3日、オーチャードホール)