ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2008.01.10]

白井剛、川口隆夫、藤本隆行による『true/本当のこと』

舞台下手に長方形のテーブルがあり、ポットやコップ、ルービックキューブなどの日用品と、表面に半透明の白い幕を貼ったような地球儀、飛行機のプラモデルなどが置かれている。地球儀の奇妙さ以外は、ありがちな男の一人部屋といった風。
タバコを吸った時、あるいはカフェインを吸収した時に脳に発生する感覚、人間の想像力が規定している日付変更線・・・などなど様々な現実と存在の落差についてのナレーションが流れつつダンスが進行する。

グレーのジャージを着た白井剛が、コップの水を飲むといったごく日常的な動作を行うと、その動きに反応して激しい重低音が響いたり、まったく反応しなかったりする。動きと音の関係は、規則的なのか、不規則なのか、無関係なのか、白井は確認することができない。
舞台の両袖にはパイプで組んだ足場があり、真っ赤なコートを手にして動き回る川口隆夫が音を操作しているのか。
さらに、テーブルのコップがひとりでに移動したり、音と光りが縦横にめまぐるしく走り、地球儀に映像が映ったり、突然、テーブル板が大小の円形に抜け落ちたりする。
生活感のある小道具ではなくオブジェが散乱し、まるでホラー映画のオープニングのように混乱し緊迫した空間が現れる。しかしそれは、ダンサーの身体にセンサーを付けて、筋肉の動きと音や光りが連動するプログラミングがなされて現出したものだ、という。
ただ観客にとっては、フロアに日用品のオブジェが散乱し、真紅のコートが飛び交う様は、なかなか美しく構成されたカオスとも感じられた。
ソフトで柔らかな存在感の白井と、ハードで力強いインパクトの川口が、コントラストを際立たせつつ、現実と存在の落差との格闘技とも呼びたいような展開をみせた。

白井剛(振付・演出)とダムタイプの川口隆夫(振付・テクスト・出演)、藤本隆行(ディレクション・照明)が創った舞台である。
(12月14日、横浜赤レンガ倉庫1号館)
「true/本当のこと」