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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.12.10]

谷桃子バレエ団の古典と創作『ロマンティック組曲』『REQUIEM』

「REQUIEM」
  谷桃子バレエ団の古典と創作の会の11回目は、谷桃子振付のショパンの曲による『ロマンティック組曲』と岩上純振付の『REQUIEM レクイエム』だった。
『ロマンティック組曲』は、1953年頃にクラシック・バレエのエッセンスが感じられる舞台を創ろうとして振付けられた作品という。
ショパンの「プレリュード」や「ノクターン」などから選ばれた曲のピアノ演奏にのせて踊られる。センターの男性ダンサーを中心にして全員が揃ったフォー メーションから始まり、パ・ド・ドゥ、ソロ、パ・ド・カトル、2組のカップル、女性の群舞に3組のカップルが参加して踊る、という構成になっている。それ ぞれのシーンはあまり長くはないが、流れの良い構成である。特に、最後のシーケンスのワルツは、フォーメーションもきれいに整えられていて美しく、クラ シック・バレエの素晴らしさが感じられた。

続いて、昨年の5月に上演された『REQUIEM』を観た。バレエとコンテンポラリー・ダンスのテクニックを使い分けて、クラシック、エスニック、ロックなどの音楽を表現するものに合わせて、巧みに物語を構成している。
物語は、『ジゼル』の設定を現代人と未来人に代えたもので、ジゼルは現代の男、アルブレヒトは未来から来た女、ヒラリオンは現代の女、村人は現代人、 ウィリは亡霊とされている。ただ、ジゼルの母のベルタだけは、時制も性も代えられず、祈る女となっている。冒頭は、祈る女がわが子にレクイエムを捧げる シーンだが、それ以後の展開は『ジゼル』と同じ。無論、表現はまったく異なっている。
未来の女と現代の男の出会いの初々しいパ・ド・ドゥ、亡霊となった現代の男と未来の女の灯りを使った踊りなどは、才気を感じさせる表現でとても感心した。
ただ、時制を越えた愛が悲劇に終わることは理解できるが、未来の女は、アルブレヒトが負ったような罪の意識を感じているのかどうか、よく分からなかっ た。また当然のことを老婆心から敢えて言えば、何を如何に表現するかと同時に、表現そのものも深めていかなければならない。例えば音楽が劇版的効果を高め るためだけに使われているような面が感じられて、少し残念だった。この才能を使って、音楽とダンスがひとつの宇宙に融合していくような舞台を期待したい。
(11月14日、めぐろパーシモンホール)

ロマンティック組曲」「REQUIEM」
「ロマンティック組曲」「REQUIEM」「REQUIEM」