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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.12.10]

小林紀子バレエ・シアター『ソワレ・ミュージカル』『ジゼル』


『ソワレ・ミュージカル』
※写真は以前の公演より
 小林紀子バレエ・シアターが2004年に初演した『ソワレ・ミュージカル』を再演した。これは1988年に、英国バレエの生みの親ともいうべきニネッ ト・ド・ヴァロワの90歳の誕生日のために、ケネス・マクミランが振付けたもの。音楽はロッシーニの曲をベンジャミン・ブリテンが編曲している。
ちょっとコケティッシュな可愛らしい踊りが織り込まれ、パ・ド・ドゥやパ・ド・カトル、ヴァリエーションなどで構成された軽快で楽しいダンス。マクミランが心地良い流れを創っている。大森結城が優しい感じを漂よわせて踊った。

『ジゼル』は、2001年までイングリッシュ・ナショナル・バレエ団の芸術監督を務めたディレク・ディーンが、02年に小林紀子バレエ・シアターに振付けた。
ディーンの演出・振付は、1幕のジゼルが狂乱する場面では、背景の宙空をウィリが横切り、鋭い稲妻の光が走り、木の葉が舞い上がって、早くも不気味な雰 囲気となる。さらに2幕の冒頭は、ジゼルの母ベルタが泣き崩れながら、娘の墓へ向かうが、一緒に付き添ってきたヒラリオンが、たちまちウィリたちに捕まる など、ドラマティックで迫力があった。また、1幕のいわゆるペザントのパ・ド・ドゥは、ロイヤル・バレエ団ふうにパ・ド・シスで踊られ、収穫祭を盛り上げ る。
ジゼルは、島添亮子が踊ったが、落ち着いて堂々としたプリマ・バレリーナぶりだった。舞台を重ねるたびに成長している感があり、たおやかさの中にゆるぎない意志の力を表す踊りだった。
アルブレヒトは、日本のバレエ・ファンにはすっかりお馴染みとなったロバート・テューズリー。2幕最後の踊り続けさせられて力つきるヴァリエーションでは、実力のほどをみせた。ただ、もう少し貴族らしさを細やかに表現してもらいたいとも思った。
2作品ともにジュリー・リンコンが制作に寄与しているが、これからも英国バレエの良さを表す舞台を期待したい。
(11月17日、ゆうぽうとホール)
『ジゼル』
※写真は以前の公演より