ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.10.10]

3人のミュージシャンと共演した東野祥子のソロダンス

トヨタ・コレオグラフィ・アワード2004で、「次代を担う振付家賞」を受賞した東野祥子が、3人のミュージシャンとそれぞれコラボレーションする 『E/G』東野祥子ソロダンス+ミュージシャンズを上演した。タイトルには、<EGO GEOMETRIA>という造語の略語らしく、さらには---あるいは器官なき身体---というサブタイトルも付けられていた。

3人のミュージシャンとは、灰野敬二、中原昌也、カジワラトシオで、日替わり演奏である。
「ミュージシャンとダンサーはあらかじめ作品としてのある時間軸のなかで、イメージ、言葉、色、質などを共有し、音の素材や、楽器を設定し、舞台上では即時的に構築していき、ダンスと音楽は毎回顔を変え、新たな感覚、精神状況下で作品を構築する」、という舞台だという。

私は、三島由紀夫賞や野間文芸新人賞も受賞して活字の分野でも活躍している中原昌也が演奏した日に観ることができた。激しいノイズをコラージュした音楽で、かなりインパクトが強く密度が濃い。

下手奥にトルソが一体置かれているだけの舞台に、頭から薄物をかぶり、スカートをショートパンツのように捲りこんで脚をみせた東野が、銀色の鎖に繋いだ ネズミくらいの玩具の犬を連れて登場する。この犬は自動的に前にだけ進むことができるのだが、東野もまた、サイボーグのように壁に突き当たるまで前に進 み、当たると方向を変えてまた進む、といった動作を繰り返す。

東野の性的幻影が映像に映されたり、意識を幾何学模様として表したり、深い響きの音と動きが饗応して強烈な盛り上がりも見せる。やがて薄物を取り衣裳を回復した東野は、自虐的というか、身体に音が切り込まれておののき、美しく歓びに溢れているかような印象を与える。
反自然的な美が構成された東野らしいなかなか魅力的な舞台だった。
東野祥子 

(9月15日、ザムザ阿佐ヶ谷)