ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.09.10]

NBAバレエ団のゴールデン・バレエ・コー・スター

『時の踊り』
原嶋里会、ヤロスラフ・サレンコ
  1995年に始まったNBAバレエ団のゴールデン・バレエ・コー・スターは、今年で8回目となった。毎回、世界の各地からじつに多彩なゲストを招いて、華やかに開催されている。この公演で初めて出会い、その後、注目することになったダンサーも何人か数えることができる。
今年は、昨年のジャクソン・コンクールで銀メダルを受賞したブルックリン・マックに関心が集まっていた。
まずは、ポンキエッリのオペラ『ジョコンダ』より『時の踊り』。プティパの原振付に基づいてボスクレンシェンスカヤが再振付したもので、夜の女王を原嶋 里会、三日月をヤロスラフ・サレンコのNBAバレエ団コンビが踊った。朝、昼、夕、夜という時の巡りを、色彩やフォーメーションでコントラストをつけて見 せる。なかなか整った舞台だった。
次は注目のブルックリン・マックが「黒鳥のヴァリアシオン」を力強く踊った。しかし短い。あっという間に終わってしまい、もう少し観たかった。
アメリカン・バレエ・シアターのソリスト、マリア・リチェットとコロラド・バレエ団の久保紘一が『スプレンディドアイソレーションⅢ』。白いロングス カートの裾をなびかせて、ロマンティックなラインを描く。トワイラ・サープのカンパニー出身で、現在はABTのスクールで教えているジェシカ・ラングの振 付作品である。久保の安定した見事な表現力に感心した。
「黒鳥のヴァリアシオン」
ブルックリン・マック
『スプレンディドアイソレーション3』
マリア・リチェット、久保紘一
  韓国国立バレエ団のプリンシパル、ユン・ヘーチンとやはり韓国で活躍しているリ・ウォン・クックの『タリスマン』。そして再び、ブルックリン・マックが 『ディアナとアクティオン』の男性のヴァリエーションを踊った。全身にスプリングが入っている、鋭いバネ仕掛けのような圧巻の踊り、ステージが狭く感じる ほどだった。
サンフランシスコ・バレエ団のプリンシパル、ヤンヤン・タンは、自身で振付けた『カルメン』を披露した。舞台の背後に半円形に椅子を並べ、美しい肢体を充分に活かしたソロだったが、カルメンの強烈な存在感を表すには今一歩の工夫が必要かもしれない。
休憩の後は、上海バレエ団出身で04年のヴァルナ国際バレエ・コンクールで銀賞を受賞した、広州バレエ団のプリンシパルのフ・シュと、サレンコの『海 賊』で始まった。フ・シュは最初はやや固かったが小顔でバランスがいい。サレンコはピルエットにアクセントを付けて踊り受けていた。なかなか見目麗しいペ アである。
エレーナ・テンチコワとフィリップ・バランチヴィッチのシュツットガルト・バレエ団のプリンシパルのペアは、『眠れる森の美女』を豪華に踊った。
『タリスマン』
ユン・ヘーチン、
リ・ウォン・クック
「アクティオンの
男性ヴァリエーション」
  ブルックリン・マック
 
『カルメン』
ヤンヤン・タン
『海賊』
フ・シュ、ヤロスラフ・サレンコ
『眠れる森の美女』
   エレーナ・ティンチコワ、
フィリップ・バランチヴィッチ
『ジゼル』 
  デルフィーヌ・ムッサン、
カール・パケット
 パリ・オペラ座バレエ団のエトワール、デルフィーヌ・ムッサンと同じくプルミエのカール・パケットは『ジゼル』。ムッサンはオペラ座らしい悠揚迫らざる落ち着いた踊りだった。
最後は、マリインスキー・バレエ団のプリンシパル、アリーナ・ソーモアとレオニード・サラファーノフが『ドン・キホーテ』を踊って締めくくった。ソーモ アの愛らしい魅力的なキトリが素晴らしい。サラファーノフは少々抑え気味なのか、本拠地ではもっと海老のような躍動感の漲らせて踊っていたが。
今年のゴールデン・バレエ・コー・スターは、久しぶりに舞台が熱く、観客も興奮したガラ・コンサートだった。
フィナーレ
『ドン・キホーテ』
アリーナ・ソーモア、
レオニード・サラファーノフ
(8月5日、メルパルクホール)