ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.09.10]

ローザンヌ・コンクール受賞者によるガラ・コンサート

 今月観た三つ目のガラ・コンサートは、ローザンヌ国際バレエコンクールの受賞者たちが踊った。
オープニングは、スライドによる演目紹介に続いて、スズキ・クラシック・バレエ・アカデミーの『グラズノフ組曲』。
第1部冒頭は、07年ローザンヌ・コンクールの受賞者、吉山シャール・ルイ・アンドレの『Rubrix』(マティアス・スパーリング振付)と河野舞衣の 『グラン・パ・クラシック』のヴァリエーション。赤いシャツと黒いパンツで俊敏に踊った吉山、見事なプロポーションが光る河野、ともに若々しさあふれる舞 台だった。
ヴュルツブルグ・バレエ団のソリスト、菊地あやことフリーの遅沢佑介の「黒鳥のパ・ド・ドゥ」。レ・グラン・バレエ・カナディアンのソリスト・コンビの 木田真理子と児玉北斗は、ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップスのバレエ・マスター、ショーン・ハウンセル振付の『Territoire』。アルヴォ・ペル トの曲を使った優雅な流れのダンスだった。
第2部は、パシフィック・ノースウエスト・バレエのプリンシパル、中村かおりとソリストのリュシアン・ポストルウエイトの『Kaori & Lucien』(オリヴィエ・ウエバース振付)が幕開き。中村がローザンヌのスカラシップを受賞したのは、もう20年も前のこと。優れたリズム感と鮮やか な舞台姿が、時を越えて甦るようだった。
谷桃子バレエ団の高部尚子と斎藤拓は、坂本登喜彦が振付けた『ロミオとジュリエット』を踊った。これはロミオとジュリエットの出会いから、寝室の別れま でを、マントと窓の映像と照明の変化だけで描いた見事なパ・ド・ドゥ。プロコフィエフの音楽を使って、『ロミオとジュリエット』の物語のエッセンスをうま くまとめていた。
『Kaori & Lucien』
中村かおり、リュシアン・ポストルウエイト
『ロミオとジュリエット』
高部尚子、斎藤拓
 英国ロイヤル・バレエ団のファースト・アーティスト、崔由姫とファースト・ソリスト、佐々木陽平はピーター・ライト版『くるみ割り人形』のグラン・パ・ド・ドゥ。崔の落ち着いて堂々とした切れのいい動きが印象的だった。
べルリン国立歌劇場バレエ団のプリンシパルのペア、中村祥子とロナルド・サフコヴィッチは『Transparente』を踊った。ファドに乗せて魅力的な愛の姿を描いたサフコヴィッチの小品である。中村の長身を活かした動きが鮮やかで、特にステップが魅力的だった。
第3部は、オハッド・ナハリン振付の『DANCE~Minus 16より』で、05年に日本初演を果たした貞松・浜田バレエ団が踊った。舞台全面に半円形に椅子を並べ、連鎖的な全体の動きとそれと対抗する個の動きによ り、ダンスの流れを創っていくが、最後には、ダンサー全員が一人づつ客席の観客を舞台の上に誘い、一緒に踊る。変化に富んだ動きが構成されていて、誘い込 まれていくうちに、ついには観客が舞台に上げられてしまう、というパワーのあるダンスだった。
『くるみ割り人形』
崔由姫、佐々木陽平
『Transparente』
中村祥子、ロナルド・サフコヴィッチ
『DANCE~Minus 16より』
(8月17日、青山劇場)