ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Tokyo <東京>: 最新の記事

From Tokyo <東京>: 月別アーカイブ

関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.09.10]

小林紀子バレエ・シアター『ザ・レイクス・プログレス』日本初演ほか

『ザ・レイクス・プログレス』
島添亮子
 小林紀子バレエ・シアターがマクミラン&ショスタコーヴィッチの『コンチェルト』、二ネット・ド・ヴァロワ&ゲーヴィン・ゴードンの『ザ・レイクス・プログレス』、マクミラン&スコット・ジョップリンの『エリート・シンコペーションズ』というプログラムを上演した。
『ザ・レイクス・プログレス----”レイク”放蕩児の生涯---』は日本初演だが、昨年、英国ロイヤル・バレエで上演されている。(作品については守屋氏が「英国ダンスロイヤルシート」で解説。
http://www.chacott-jp.com/magazine/around/uk_43.html)
ステージングのジュリー・リンコン、指揮のフィリップ・エリス、衣装のマイケル・ブラウン、装置のスーパーヴァイザー、ダクラス・ニコルソンが招かれ、 ゲストダンサーはロイヤル・バレエでもファーストキャストとして踊ったヨハン・コボーなど、ほとんどの主要スタッフとキャストが英国から招かれて創られた 舞台である。
ヨハン・コボーがレイクに扮し、島添亮子が裏切られた少女を踊っている。
この作品は、18世紀英国の画家ウィリアム・ホーガスの風刺と教訓の込められた8枚の連作画のうち6枚に基づいて制作された。膨大な遺産を相続した青年 とそれを取り巻く人々、青年に尽くす女性の関係を18世紀のロンドンを舞台として描かれている。それぞれの関係が具体的に進行していくわけではなく、ある 時々の有様を断面のようにして見せる。
青年を中心としたシーンはテンポが速く、大げさに戯画的に進められ、女性のシーンはゆっくりと情緒を込めて描いてコントラストをつけているのだが、いさ さか単調にも感じられる。あらゆる意味でディープに英国的であり、物語を追うのも少々苦労してしまうのだが、コボーは手慣れた動きで、島添は登場人物の細 かい心理を追って丁寧に踊っていた。
『ザ・レイクス・プログレス』
島添亮子、ヨハン・コボーヨハン・コボー
『エリート・シンコペーションズ』はマクミランが、スコット・ジョップリンのラグタイム・ミュージックを使って振付けた、じつに楽しいダンスである。
<ピエロのカーニバル>みたいなきらびやかな衣装と、様々に凝った意匠の帽子をかぶったダンサーたちが、ダンスの楽しさを競い合う舞台である。オーケストラのメンバーまでもが同じ衣裳を着て舞台上で演奏し、ミラーボールが回り、観客の目を楽しませる。
ダンスはもちろん、バラエティ富んでいて、パ・ド・ドゥからカップルダンス、群舞、テクニック比べなどがつぎつぎに展開してまったく飽きさせない。
中野孝紀のピアノ演奏が素晴らしい。ダンスと完全にシンクロして踊るように演奏していて、ダンサーを乗せてしまっているかのよう。
ダンサーのバランスも良く整っていると思われた。特に高橋怜子の動きが印象的だった。
 
『エリート・シンコペーションズ』
  高橋怜子
(6月30日、新国立劇場 中劇場)