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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.04.10]

NBAバレエ団がフォーキンのバレエ・リュス4作品を上演

  1906年にディアギレフは、パリに乗り込み最初の企画「ロシア美術展」を開催。翌07年には、パリ・オペラ座で「セゾン・リュス」として演奏会を開催。 ムソルグスキー、スクリャービン、グリンカ、ボロディン、グラズノフなどの音楽、さらにフョードル・シャリアピンの地を揺るがすアリアを紹介して大成功を 収めた。
そして09年には、『アルミードの館』『ポロヴェッツ人の踊り』『饗宴』『レ・シルフィード』『クレオパトラ』などのバレエ作品が、パリのシャトレ劇場 で初演されたのである。この時の上演作品は、デヴェルティスマン集の『饗宴』を除いて、振付はすべてミハイル・フォーキン。ダンサーはフォーキン自身とニ ジンスキー、カルサヴィナ、パヴロワほかであった。
それから100年の時が過ぎ、マリインスキー劇場のセルゲイ・ヴィハレフが、バレエ・リュスで初演されたフォーキン作品を復元・再振付して、ラスタ・トーマスをゲストに迎えてNBAバレエ団が踊った。

 

『ショピニアーナ』


『ル・カルナヴァル』

『バラの精』
 


『ポロヴェッツ人の踊り』
『ショ ピニアーナ』は、ワガノワがフォーキンの振付に基づいて再振付したもの。現在、ワガノワ舞踊アカデミーのレパートリーとして残されている振付である。ニジ ンスキーが踊った青年をラスタ・トーマスが踊った。夢の世界のようなゆったりとしたテンポに中に、緩急があって独特の雰囲気を醸す舞台である。マズルカの 原嶋里会、ワルツの峰岸千晶が良かった。
『ル・カルナヴァル』は今日ではほとんど踊られることのない作品で、音楽はシュウマン、ヴィハレフの再振付である。アルルカンやコロンビーヌ、ピエロや蝶 々などのキャラクターが、様々な軽いテーマを踊って、甘い気持や寂しい心などの微妙に変化する心の有り様を楽しいヴィジュアルで見せる。今日のような、刺 激的なテーマや強烈なキャラクターではなないが、淡い心理模様が意外に深い人間への洞察によって描かれている。

『バラの精』を踊ったニジンスキーの跳躍はあまりにも有名である。ここではヴィハレフがフォーキンの原振付に基づいて再振付を行っている。バラの精はラスタ・トーマスが鮮やかに踊り、少女には猪俣陽子扮した。
『ポロヴェッツ人の踊り』は、フョードロフ・ロプホフがフォーキンの振付に基づいて再振付したもの。ロシアの神秘思想の持ち主、ニコライ・レーリヒの美術が独特の美しさをたたえて、ただならぬ雰囲気が漂う舞台であった。群舞も美しかった。
(2月25日、メルパルクホール)