ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2007.04.10]

馬場ひかりダンスプロジェクト『まんだらげ』


『まんだらげ』
馬場ひかり
  現代舞踊界で確固たる地位を占める馬場ひかりが主宰するダンスプロジェクトが、新作『まんだらげ』を上演した。曼荼羅華(まんだらげ)を「生まれ、成長 し、消滅する、身体のコスモロジー」ととらえ、この天上の花を通じて曼荼羅の宇宙観に迫り、宇宙と身体の対話を図ろうとした作品という。「四角とまるの図 形の中にすべてを閉じ込めた命のかたち」である曼荼羅は、とりもなおさず「自己と世界の繋がりを明らかにする場所」であると解釈する馬場が、作・演出・振 付のすべてを手掛け、自ら主要なパートを踊った。ほかに11人の女性ダンサーが出演した。

『まんだらげ』
馬場ひかり

 白い衣裳のダンサーたちは、例えば二重の環を構成し、その内と外の環とで反対方向に進むなど異なる動きを取ったり、また縦一列や対角線上など直線を強調 して踊ったり、集散と離散を繰り返したり。手や腕の振りには、仏像や仏画に似たポーズも取り入れられていた。曼荼羅について深い知識はないが、踊りの構成 は秩序ある世界を感じさせた。
馬場のソロは何といっても存在感があった。群舞が守護神なら、馬場は仏陀にたとえられようか。馬場のゆるやかな回転や、スピードを増していく律動的な旋 回は、内から涌き出てくるエネルギーを素直に形にしたという印象を与えた。そして、着物の帯のような雅な布を引きずって舞う姿は、降り注ぐ白い花びらの演 出も手伝って、清浄な世界を提示しているようにも思えた。
床に大小の四角や円形を描く照明や、投影される波紋や木の葉の映像、そして梵鐘に似た響きやノイズ、宇宙的な音響も織り込んだ音響効果なども、ステージ上で展開される曼荼羅の世界と共振するように用いられていた。

(3月14日、俳優座劇場)