ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Tokyo <東京>: 最新の記事

From Tokyo <東京>: 月別アーカイブ

関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.02.10]

レニングラード国立バレエ団の『海賊』と『白鳥の湖』

 昨年の暮れから始まった、レニングラード国立バレエ団の3ヶ月におよぶ長期公演がたけなわである。
新年早々、ファルフ・ルジマトフが踊った『海賊』を観た。レニングラード国立バレエ団は『海賊』を、サン・ジョルジュ、マジリエ台本、プティパ振付を原 典として、スロニムスキーが改訂台本を書き、グーセフの演出で1955年に上演した。そして再び、このカンパニーの芸術家監督のボヤルチコフが改訂演出を 行ったヴァージョンを1994年に復活上演している。音楽はアダンを中心にプーニ、ドリゴ他が参加している。

物語は、難破して浜辺に打ち上げられた海賊が、若い娘たちに助けられる。やがて娘たちは奴隷商人に捕らえられて市場にかけられるが、海賊が彼女たちを取 り戻し、海賊の首領は彼女たちを解放する。ところが海賊の仲間割れが起って奴隷商人が暗躍するが、結局、首領たちが勝って奴隷は自由の身を取り戻す、とい うもの。
海賊のアリに扮したルジマトフは、格の違いを見せるような踊りである。海賊の首領コンラッドと結ばれるメドーラ役は、レニングラード国立バレエ団を代表 するプリマ、イリーナ・ペレンが堂々と演じた。ペレンは登場しただけで華やいだ雰囲気を醸すことができるスター性が身に付いてきた。
第3幕のハーレムの踊りが良かったが、やはり、アリ、コンラッド、メドーラが踊るパ・ド・トロワが最大の見せ場である。
楽天的でいささか単純なヒロイズムを謳歌したバレエだが、エキゾティックで華麗なダンスシーンは、誠に充実している。(1月4日、東京文化会館)

(5日)ルジマトフ、シェスタコワ

『白鳥の湖』は、オリガ・ステパノワのオデット/オディール、アルチョム・プハチョフのジークフリートだった。プハチョフは控え目過ぎるくらいおさえた演技だが、テクニックはしっかりしていた。
ステパノワはゆるぎない安定した踊り。四羽の白鳥は息があってよかったし、全体にソリストとコール・ドのアンサンブルは良い調和が保たれていた。道化は登場せず、家庭教師がジークフリートの気持ちを表す反応を見せる役割となる。
最後は、断崖の上に建っているロットバルトの館が、愛の力に敗れて崩落し、アポテオーズもないシンプルな悲劇となっている。(1月7日、東京国際フォーラム ホールA)