ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.02.10]

横浜ダンスコレクションR受賞者公演

2006年に横浜ダンスコレクションのソロ+デュオ・コンペティション受賞者の作品が上演された。
 
  川口ゆいは、妻殺しで絞首刑になった男と殺された妻の情報の残滓から「黒猫」の幻が生まれる、という設定のソロ。主を失しなった情報がモニターに漂うと いったような今日的な状況と、黒猫の幻といったイメージは作者の中では、じつはあまりギャップが無いのかもしれない。私は、デジタルな解析性とアナログな 神秘的存在に感じてしまうのだが、CGなどを見慣れた世代のヴィジュアル感覚はまた異なっていると思う。
文学的なテーマを動きに還元しようとしているのだろうか、それとも動きを追究する中から生まれたテーマなのだろうか。川口ゆいが魅力的なダンサーであることは間違いないが、そんな質問を発してみたくなった。

 

「REM - The Black Cat」

 浜口彩子は『無敵』を上演した。3人の女性ダンサーを使って独特の緊張感が張り詰めた舞台だった。振付は、一種ニューロティックな動きで全編を通している。
常に何かに脅えていて、呼吸さえままならない状況下のダンスである。見えざるプレッシャー。どこかイジメにおびえる子どもたちの心の有り様を想起させた。
ほとんど身体のパーツを使った動きと倒れ込みで構成されていて、大きなステップと上体の動きの組み合せは少なかった。それがコンテンポラリーな印象を与えるのである。

「無敵」

 杏奈は『B's ~ワタシダッテアイサレタイ~』。
頭から黒い衣裳で全身を覆った5人の女性ダンサーが、舞台奥から等間隔で並び、同じ動きをしながら手前に進んでくる。次第に動きがばらつき、それぞれの ダンサーが衣裳を脱ぐと、真紅のトップと黒いショートパンツ。そして、様々な動きの組み合せが、フルスピードで展開する。
なかなか見応えのある動きの構成で、ダンサーたちのリズムも揃っていた。見せる上でのおもしろさは充分だが、それ以上の訴えかけてくるものも感じてみたかったのだが、やはりいろいろな制約の中では難しいのかもしれない。(1月20日、ランドマークホール)

「B's ~ワタシダッテアイサレタイ~」