ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.01.10]

牧阿佐美バレエ団『くるみ割り人形』

 牧阿佐美バレエ団が創立50周年記念公演の掉尾を飾って、総監督の三谷恭三の演出・改訂振付(プティパ、イワノフ版による)の『くるみ割り人形』を上演した。三谷版は2001年に初演されている。

金平糖の精、雪の女王、王子がトリプルキャストだったが、私が観た日は、笠井裕子、吉岡まな美、京當侑一籠。クララは西櫻子、ドロッセルマイヤーには小嶋直也が扮していた。
京當はくっきりとバランスのとれた身体で、役に似合い王子にふさわしい舞台姿だった。清楚な佇まいで、無駄な動きがまったくなく優しくクララを導き、2 幕のグラン・パ・ド・ドゥも舞台を圧倒するような踊りを見せた。この作品に後味のよい印象を残した。小嶋のドロッセルマイヤーには大いに期待したのだが、 あまり記憶に残る演技は見付けられなかった。

1幕はシュタールバウム家の客間も雪の国も素晴らしい装置で、楽しさが客席にまで直接伝わってくる。夜の森で踊られる雪の国シーンは、照明が鮮やかに煌めく世界を浮かび上がらせて、クリスマスの雰囲気がたっぷりと醸し出されていた。
ただ、2幕の金平糖の精は、大冒険を繰り広げてお菓子の国に辿り着いた王子とクララをもっと大仰に歓迎してあげてほしい、と思った。また各国やお菓子を イメージしたデヴェルティスマンは、それぞれ可愛らしいのだから、もっと観客にアピールする気持ちを前に出して踊ってほしい、とも感じた。
ダンスを見守る小さなコックたちが、なんとも言えず可愛らしい。『くるみ割り人形』にふさわしい、素敵なアイディアだと思う。
(12月16日昼、ゆうぽうと簡易保険ホール)