ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Tokyo <東京>: 最新の記事

From Tokyo <東京>: 月別アーカイブ

関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.01.10]

フィリップ・ドゥクフレの『SOLO』----ソロなのにひとりじゃない

 ソロとはひとりで踊ることであって、作品のテーマではない。ドゥクフレというアーティストを知らなければ、ど こに作品の特徴を観ればいいのか不安に感じる観客もいるかもしれない。しかし、この作品はあくまで「ソロ」である。というよりソロ自体をテーマにしてい る。言い換えると、ひとりで踊ることの楽しさ、喜びを深く追究している舞台であり、実際、<ひとりで踊る>ということのエスプリがぎっしり詰め込まれたダ ンスである。


『SOLO』
 チラシには、「ソロなのにひとりじゃない」と呼び込み文句が歌われていた。舞台を観ると確かにひとりじゃない。孫悟空ではないが、髪の毛の分身の魔法によって無数のドゥクフレが現れて、彼自身とコラボレーションしているのである。
とりわけ、ハリウッド・ミュージカルのモブシーンの振付の天才、バズリー・バークレーに捧げられたシーケンスはおもしろかった。
誰でも遊んだことがあるだろう、鏡に鏡を映して無限に相似形が続いて見える、あの現象を使って踊るシーン。ドゥクフレの動きに連れて鏡の中の彼が、次々と同じ動きを続けてていく。波が永遠に続くように、鏡の中のドゥクフレも永遠に縮小しながら存在しているのだろうか。
子どもが食事も忘れて、遊びに夢中に耽るように、彼のダンスには終りがない、かのようだった。
(11月30日昼、天王州 銀河劇場)

『SOLO』

『SOLO』