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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.01.10]

Noism06 TRIPLE VISION、金森、大植、稲尾作品

 今年3年間の活動延長を決めた金森穣を芸術監督にいただく、Noismの3rdシーズン最初の公演はTRIPLE VISION。昨年に続く振付家外部招聘企画である。
金森の『black ice』(ver.6)、スウェーデン国立オペラバレエ団やクルベリー・バレエ団に作品を提供している大植真太郎振付の『solo,solo』。イスラエ ルのバットシェバ舞踊団に所属し、03,04年には芸術監督も務めた稲尾芳文とノルウェーのカルトブランシェ出身のクリスティン・ヒヨット・稲尾の共同振 付による『Siboney』が上演された。踊ったのは金森穣を筆頭とするNoismのダンサーたちである。

金森穣の『black ice』は、床全面に白いリノリュウムを貼り、舞台のほぼ中央に歪んだ菱形の大きな白いボードを立っている。これがスクリーンとなって、人間の身体のパー ツが集まったり分裂したりするデフォルメされた映像が映される。ホリゾントの最下部の照明バーが光を発する。
出入りの多い動きとからみがあり、氷の感覚が描かれて行く。最後には、ひとりのダンサーがリノリュームに潜って舞台から消える。氷のように溶けて身体が消えたのか?
今さらだが、金森が振付けた動きは鮮やかである。適度に超絶的な技巧が組み込まれて、独特の流れが観客を魅了していた。



『black ice』

『black ice』

『black ice』

 大植の『solo,solo』はたいへん興味深い作品である。ダンスの動きそのものをすべて白紙に戻して、「ダンスの動きとは何なのか」を新たに求める、という作業を踊る舞台である。
繰り広げられるのは、ダンスというよりほとんど戯れ合いのように見える動きだった。大きな白い人形を使った戯れ合い、25Kgの黒い塊を使った戯れ合い などなど。しかし大きな白い人形は巨大な一枚の布で作られていて、戯れ合っているうちに布に戻ってしまう。人形という具体的な物が白い布という、意味を持 たない抽象的な存在となる。25Kgの塊は、ダンサーはその重さによっ質量を感じて動きを規制してしまう。あくまで様式化を拒否し、これはダンスじゃない よ、ただの寄っかり合いだとか。
流麗で美しい動きはないが、ダンスの動きそのものへのアプローチを創って才気を見せた。

『solo,solo』

 稲尾とクリステイン・稲尾の『Siboney』は、ジャズや民族的な要素をコンテンポラリー・ダンスに積極的に採り入れた手慣れた舞台である。滑らかな身体の動きで美しいシーンを次々と描いた。衣裳も素敵だし、音楽もフィットしていた。
振付けやリハーサルの際には、ダンサーに鏡を見せないようにして動きを創っているというが、フォーメーションも整って破綻のないダンスだった。
(12月17日、びわ湖中ホール)


『Siboney』

『Siboney』