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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2007.01.10]

マリインスキー・バレエ『海賊』

 ガラ公演に続く演目は、この作品をレパートリーに持つバレエ団は希少という『海賊』。だが日本では、同じサンクトペテルブルグを本拠とする別のバレエ団が何度か上演しているので、馴染まれているほうだ。

上 演したのは、プティパの振付に基づき、グーセフが1955年に改訂した版で、前芸術監督のヴィノグラードフが1987年に復活させたもの。嵐で漂着した海 賊の首領コンラッドと、彼らを助けたギリシャの娘メドーラとの恋を軸に展開するが、娘たちを捕らえた奴隷商人ランケデムや彼女らを買い取ったトルコ総督、 首領に反逆するビルバンドらがからみ、コンラッドらが彼女を救出して海に逃れるまでが描かれる。筋運びは荒っぽいが、それを見所の多いバレエシーンや、荒 れ狂う海のスペクタクルな描写、ハーレムの場で背後に噴水を設けるといった仕掛けで補ったような形だ。なお、ガラ公演などでよく取り上げられる“海賊の パ・ド・ドゥ”は、実際は二人による踊りではなく、海賊アリとメドーラにコンラッドが加わるパ・ド・トロワとなっている。
『海賊』
ヴィシニョーワ、サラファーノフ

ダンサーでは、何といってもメドーラ役のウリヤーナ・ロパートキナが輝いていた。冒頭の海岸では細い脚を高ら かに振り上げて溌剌と舞い、奴隷商人に強いられた踊りには憂いをまとわせ、グラン・パ・ド・トロワでは、美を造形するように、どのような動きからも優雅さ を立ち昇らせた。共に踊ったアリ役のイーゴリ・ゼレンスキーは、宙を切り裂くような跳躍や律動的なピルエットで応じたが、自身の感情を出さずに首領の忠実 な部下という役柄に徹していた。コンラッドのエフゲニー・イワンチェンコは、逞しいジャンプを披露するなど、スケールの大きな身のこなしで首領としての存 在感を示した。


『海賊』
ヴィシニョーワ、サラファーノフ

『海賊』
ヴィシニョーワ、サラファーノフ

『海賊』
ヴィシニョーワ、サラファーノフ


『海賊』
ギ リシャの娘ギュリナーラのオレシア・ノーヴィコワは、変化をつけた回転技を鮮やかにこなし、華のある踊りを見せた。群舞では、冒頭でギリシャの娘たちが舞 台に跳び込んでくるグラン・ジュテの勇ましさが際立ったが、これは自由な身の象徴のようにも受け取れる。対照的に<生ける花園>では、ハーレムの娘たちが 調和に満ちた優美な群舞を織りなしたが、生のエネルギーは希薄だった。ほかにも、洞窟の場で海賊たちによる勢いの良い群舞が舞台を盛り上げたことは言うま でもない。
(12月5日、東京文化会館)


『海賊』

『海賊』