ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2006.12.10]

バレエ協会のトリプルビル、『カルミナ・ブラーナ』ほか

日本バレエ協会の第45回バレエフェスティバルが開催され、早川惠美子振付『シンフォニー・プラハ』(音楽モーツァルト)、中島素子振付『パリのよろこび』(音楽オッフェンバック)、石井潤振付『カルミナ・ブラーナ』(音楽カール・オルフ)が上演された。

『シンフォニー・プラハ』は、今年、モーツァルト生誕250年を迎えたことから、モーツァルト曲集によるダンスのアンサンブルを振付けたもの。3組のカッ プルのダンスから始まり、群舞、パ・ド・ドゥを交錯させて流麗な流れを見せた。よくコントロールされた流れのある舞台だった。女性ダンサーのピンクのチュ チュが可愛らしかった。


 

『シンフォニー・プラハ』

『シンフォニー・プラハ』

『シンフォニー・プラハ』

『パリのよろこび』は、カフェを舞台に、かつてはここのギャルソンだったが、一夜にして大成功を収めた青年オペラ歌手とそれを援助した恋人、そして彼のギャルソン時代に想いを寄せ合った女性が、織りなす感情の絡み合いを描いている。
下村由理恵、菊地研、田所いおり、橋浦勇、尾本安代、夏山周久、佐藤一哉など若手、べテランの実力者が出演している。賑やかに楽し気な雰囲気がよくでて いるが、愛の心理とコミカルな動きがさらに噛み合えばよかった、とも思った。フレンチカンカンは文句なく楽しかったが、何百年にもわたってカフェの床に滲 みこんでいるワインの香りを感じることができたかどうか。下村、菊地にはもっと踊ってもらいたかった。



『パリのよろこび』

『パリのよろこび』

『カルミナ・ブラーナ』は力作である。運命そのものを表す大きな赤い布を駆使し、運命の女神を中心に、第1部 「春」第2部「居酒屋にて」第3部「愛の庭」とつぎつぎに25曲が踊られる。じつに豊富な舞踊言語により、自転車や万国旗、丸焼きチキン、化粧セット、 キャスター付きマネキンなどの小道具を操って、様々な演出シーンが展開する。しかし全体を通しては神話的な表現となっており、適度のユーモアが人間性の豊 かさを表している。
最後の4曲は力強い群舞の構成で描き、ラストの演出も見事に決まっている。運命の女神を見事に踊りきった寺田美砂子を讃えたい。遅沢佑介もシャープに動きを見せた。今後もこうした作品をどんどん上演して、日本のダンスの実力を大いに示していくべきである。
(11月10日、メルパルクホール)



『カルミナ・ブラーナ』

『カルミナ・ブラーナ』