ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2006.09.10]

スターダンサーズ・バレエ団のピーター・ライト版『くるみ割り人形』

 ピーター・ライトの演出・振付はじつにシンプル。理屈っぽさをまったく感じさせない、ごく自然な展開で物語を進めている。
クララがクリスマス・イブに見た夢を描いている。クララの母は元バレリーナで、彼女も将来はバレリーナになって舞台で踊ることに憧れている。


  子どもたちにとって一年で最も待ち望んだ日、クリスマス・イブ。楽しい楽しいパーティが開かれ、魔術師のドロッセルマイヤーがつぎつぎと不思議な魔法を見 せる。クララは奇妙なくるみ割り人形をプレゼントされて大喜び。やがてパーティもお開きとなり、子どもたちも眠りに就く。
クララはくるみ割り人形が登場する夢を見る。夢を支配しているのはドロッセルマイヤーだった。突如、クリスマスツリーが巨大化し、ネズミの王様の軍隊と くるみ割り人形が指揮するおもちゃの兵隊の大戦争が繰り広げられる。戦いの中で倒れたくるみ割り人形は、クララの優しさにより美しい王子に変身。そしてク ララは王子に導かれて雪の国に行って、雪の精と風たちの踊りを見る。さらに不思議な夢の場所で、クララは様々な踊りを見て楽しみ、ついには金平糖の精に変 身して、王子と豪華で素晴らしいダンスを踊る・・・。
 ナイーブな少女の憧憬が映し出された夢が、シンプルに物語と音楽とダンスが無理なく一体化して描かれているのである。

吉田都/フェデリコ・ボネッリ、佐久間奈緒/菅野英男、福島昌美/福原大介というトリプルキャストが組まれていたが、佐久間と菅野のペアを観た。バーミ ンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパルの佐久間は、落ち着いて正確でシャープな踊り、若々しい魅力が溢れ出る舞台だった。ウクライナのキエフ・バレエ団 のプリンシパルである菅野は、やや小柄だがすっきりとして洗練された踊りで見ていて気持がいい。なかなか素敵な好感のもてるカップルだった。
(8月5日、新国立劇場 オペラ劇場)