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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2006.09.10]

韓国ユニバーサル・バレエ団による『沈清(シム・チョン)』

  韓国のユニバーサル・バレエ団が3年ぶり13回目の来日公演を行った。キーロフ・バレエ団で22年間芸術監督だったオレグ・ビノグラドフが、1998年以 来ユニバーサル・バレエ団の芸術監督を務めている。団長は、このバレエ団の創設メンバーで韓国を代表するプリマバレリーナでもあったジュリア・ムーン。
グランド・バレエ『沈清』全三幕は、語り物の民俗芸能パンソリの『沈清歌』がオリジナルであり、韓国では誰もが知っている話である。振付はユニバーサ ル・バレエ団の初代芸術監督、エイドリアン・ダラスだが、その後、ビノグラドフが改訂を行っている。物語は、孝行娘の沈清が様々の困難を経て王の后とな り、父親たちの盲目を癒す、というもの。

沈清役のファン・ヘミンは、ワシントンのユニバーサル・バレエ・アカデミーとモナコ王立バレエ学校で学び、様々なバレエ・コンクールでの入賞歴をもって いる。国際的に活躍する韓国の若手バレリーナの代表である。スレンダーで美しい身体を充分に駆使して、父親への愛情を深くめんめんと訴えた。
NBAバレエのガラ公演に出演した経験のあるイ・ヒョンジュンの船長、ノボシビルスク・バレエ学校出身のセミョン・チューディンの龍王子などは、大型の男性ダンサーとして、逞しいダンスを見せた。
全体に身体能力に優れたダンサーが多く、男性の力強い踊りと女性の静かな踊りがコントラストをなして、このバレエ団の特徴を出していた。バレエ教師の中 に、来日公演でも印象的な舞台を残したキーロフ・バレエ団のエフゲニー・ネフの名前を見つけ、しばし懐かしい想いにかられてしまった。
(8月30日、新宿文化センター)