ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2006.07.10]

伊藤友季子と青山季可がオデット/オディールに同時デビュー

 牧阿佐美バレエ団の50周年記念公演は、3月の『ア ビアント』に続いてテリー・ウエストモーランド版の『白鳥の湖』である。そしてこの公演の最大の話題は、伊藤友季子と青山季可というフレッシュなバレリー ナが、同時にオデット/オディール・デビューを果すことであった。
ウエストモーランド版は、ニコライ・セルゲイエフが英国にもたらしたステパノフ式のノテーションによる、プティパ、イワノフ版に基づいて制作された『白 鳥の湖』の演出・振付を継承している。細部にも配慮したゆったりとした演出・振付で、舞台の流れを重視している。

  伊藤友季子はジークフリード王子に扮した京富侑一籠と踊った。伊藤のオデット/オディールは、やや線の細さを感じる人がいるかもしれないが、心に絶対的な 愛の希求をはっきり保持して踊り、見事だった。基本のしっかりとしたダンサーなので、ぜひ、自分の表現をさらに深めていくように努力してもらいたい。京富 とのパートナーシップも、さらに一段高いところを目指して欲しい。呼吸が上手く合っている時は、若々しく素晴らしいカップルなのだから。京富は第3幕の黒 鳥のパ・ド・ドゥが歓びを爆発させる見事な踊りだった。今後、大いに期待の持てる大型カップルの誕生である。

伊藤友季子

青山ももう少しだけ感情の流れに気を配ってもらいたいとは思ったが、とても初役とは思えない堂々たる踊りだった。ジークフリード王子の逸見智彦は細やかな表現力を見せる落ち着いた踊りである。こちらのカップルの将来にも期待したい。
最後の第4幕は、美しいフォーメーションでこのドラマティックなバレエを締めくくるのにふさわしい振付である。ジークフリードとロットバルトの闘いをス ペクタクルとして見せたりはせず、オデットと王子の愛の絶対性を強調して、アポテオーズも決まっていた。
(6月9日、10日、ゆうぽうと簡易保険ホール)


伊藤友季子

青山季可

青山季可
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