ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2006.01.10]

山田せつ子の『奇妙な孤独』、山名たみえの『GENE』

山田せつ子は笠井叡の天使館でソロデビューを果たし、現在はダンスカンパニー「枇杷系」のディレクターである。3年ぶりに新作『奇妙な孤独』を上演した。新体操出身の天野由起子が共演した。
舞台にはキャスターの付いたオブジェを飾った二台の簡易ベッドが置かれている。天から数本の長さの違うステンレスのスパイラルが下がり、下手には筒状の 照明が光る。ベッドには孤独が住んでいるだろうから、スパイラルが下がる空間と微妙なニュアンスが生じている。そこに山田せつ子独特の様々のフォルムを描 き、さらに複雑な感覚的な空間を創る。
細かい日常的な仕草を含む軽い動きから始まって、音響に身体にリズムを反応させる動き、無音の動き、言葉や歌に共鳴する動きなどをフラグメンツとして構 成している。リズミカルな音響に合わせてハードな動きを展開した後、しばらく無音で踊る。ここでは自由を求める心と身体のズレが、細やかに踊られていた。 形象力を持ったダンサーである。
(12月18日、スパイラルホール)


山名たみえが主宰するダンスカンパニーDeux(ドゥ)が『GENEジーン』を上演した。GENEとは遺伝子のことで、遺伝子自体は意志をもたないが、科学はそれを操作することを可能にした。
人間の命の知を継承するひとつの単位が構成する、フラクタルな運動を想起させる動きが展開する。しかしその動きは、万人に伝えるためにある程度は類型的 に成らざるを得ないのかもしれない。私はかねがね山名のダンスの造形力に注目していたが、その特質を生かした舞台を創ってもらいたい、と思う。ピエール・ ダルドの動きが印象に残った。
(12月21日15時、新国立劇場小劇場)