ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2005.12.10]

●ラファエル・アマルゴの『エンランブラオ』

 ラファエル・アマルゴは1975年グラナダ生れ。若い頃からアントニオ・カナーレスなど著名なアーティストの公演に参加していた。 97年に自らのカンパニーを立ち上げ、02年に映像やコンテンポラリー音楽を使った新しいスタイルのフラメンコ『ニューヨークの詩人』で注目を集めた。

 今回上演した『エンランブラオ』は、アマルゴ自身が青春時代を過ごしたバルセロナのラス・ランブラス通りをモティーフにして創った舞台である。 旧市街の目抜き通りで観光地でもあるラス・ランブラス通りには、ダンスを踊る若者、ホームレス、大道芸人、エトランジェ、売春婦などが流れ屯している。 「……僕自身かつてここで恋し、傷つき、そして成長した……。ストリートは人を育て、人生を謳う。そこにはまさに”フラメンコの息遣い”が潜んでいるんだ」とアマルゴは語っているが、 『エンランブラオ』は、この大都会の表情に彼のイマジネーションを託して描いた、ダンスと映像と歌で構成された12章である。 「ホームレス」「通りにて」「Sex+money(空気)」「リベルタンゴ」「寛容」「ファルーカ(土)」「苦い四月」「炎」「孤独」「通行人」「水」といった章に分けられていて、 <火・空気・水・地>という四大元素が組み込まれ、象徴的映像と歌とダンスがモンタージュされる。 映像が優れており、舞台のヴィジュアルを洗練されたシャープな感覚に見せた。背景に泰西名画のような深い濃いブラックを表し、ダンサーを巧みに浮かび上がらせた照明が良かった。 ダンスも良かったが、舞台のこくのあるヴィジュアルの演出が決まっていたと思う。

ラストはアマルゴを先頭に客席を回ったり、大きな風船を飛ばすサービスが観客を喜ばせていた。かつては、新宿のフラメンコレストラン「エル・フラメンコ」で踊っていたこともあるそうだ。やはり日本人へのアピールの仕方を心得ているのかもしれない。
(12月2日、オーチャ-ドホール)