ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2005.12.10]

●田中泯の『透体脱落』SePT独舞

 桃花村の公演やコラボレーション、映画出演など活発な活動を展開している田中泯のソロ公演『透体脱落』を観た。02年のSePT独舞『脱臼童體』の続編ともいうべき作品である。

舞台には赤土が盛られ、ペットの墓のような盛り土もある。手前には白い砂が敷かれて、小さな入り江のように見える。下手には背が高いのと低い2組の鉄 棒。正面やや奥には帯状の派手な柄の布が、綱に吊るされて幕のように視界を遮っている。その幕から、半ズボンにカーキ色の半ぞでシャッツ、手に竹の棒を 持って、頭には新聞紙で折った紙兜を冠った昔の少年が登場する。ゆっくりとした鈍い動きで土の上を歩くように踊る。竹の棒で白い砂をゆっくり叩く。そして 竹は土に突立て、そこに紙兜を掛ける。

布の幕が揚げられると、下手に犬小屋、奥には数本の薄が白い穂を見せている。
少年は衣服を脱ぎ、白いシャツと長いズボンに履き替える。再び歩くようなゆっくりとした動き。服を脱ぎ褌ひとつとなって犬子屋に投げ込む。天を仰ぎ、虚空を掴むかのよう。
 舞台中央奥にさがり、胎児のようにもだえやがて闇に消える。
日本人の原風景の中を田中泯とともに彷徨い、田中泯の創る現実とは関係のない時間を生きる、そんな不思議な情感を体験する舞台だった。
(11月24日、世田谷パブリックシアター)