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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2005.11.10]

●ティアラこうとう〈オーケストラwithバレエ〉「剣の舞」

ティアラこうとうが主催する〈オーケストラwithバレエ〉は、江東区と芸術提携を結んでいる東京シティ・フィルと東京シティ・バレエ団によるステージの上での共演をメインに、音楽と舞踊の両方の魅力をアピールしようとするもの。 概してオーケストラの聴衆はバレエの公演には足を運ばず、逆にバレエ愛好家でオーケストラの公演を聴きに行く人は多くはないのが現状。 そこで、このように一つの公演に肩の凝らないオーケストラとバレエの演目を並べ、それぞれのファンの裾野を同時に広げようと図ったのだろう。 ともかく、今年で11回目を迎え、今や人気の企画としてすっかり定着したようだ。

公演の前半は常任指揮者・飯守泰次郎の指揮による東京シティ・フィルの演奏。ヨハン・シュトラウスIIのオペレッタ『こうもり』から序曲を、流れるように軽快に奏でた。 ボロディンの歌劇『イーゴリ公』からは合唱抜きでも演奏される「ダッタン人の踊り」を取り上げたが、もう少し歯切れの良さが欲しい気もした。 ただ、舞台前面をバレエのために開け、プロセニアムの後で演奏したせいか、音がよく響いてこなかったのが惜しまれる。

 後半は、ハチャトゥリャンのバレエ音楽『ガイーヌ』から変化に富んだ10曲が、石井清子の演出・振り付けで踊られた。 バレエを背中で見ているような飯守の指揮と踊りが気持ち良く合い、総じて躍動感溢れるステージが展開された。 良く知られた「剣の舞」では出陣を控えた男性陣がエネルギッシュに勇ましく舞い、志賀育恵と黄凱によるたおやかなデュオ「子守り歌」や安達悦子ら女性陣による「バラの乙女の踊り」と好対照を成した。 限られたスペースなので、振りは制約されただろうし、踊りも少々窮屈そうだったが、通常よりダンサーが間近だったため、動きの細部や男性が女性をサポートする様がよく見て取れた。 飯守と石井による解説は親切だったが、音楽を例にとりあげる時など、奏者にその部分を演奏させたら、もっと理解が深まったと思う。
(10月16日、ティアラこうとう)