ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2005.10.10]

●勅使川原三郎が『Bones in Pages』を11年ぶりに再演

『Bones in Pages』は最初はインスタレーションとして展示され、1991年にフランクフルトでソロ作品として初演、94年に神奈川芸術フェスティバルで踊られた。3人のダンサーによる作品としては、03年から昨年にかけてヨーロッパの各地で上演されてきた。

おびただしい同じ大きさの書籍が下手の壁面に整然と嵌め込まれている。書籍は書棚に収めるように背を向けててはいない。すべての書籍が同じように小口側 を向けて並んでいる。すると抑えを失ってページがゆるんで開き半円形になる。それが下手側の壁面全体にびっしりと並んでいると、意想外の不思議な美しさを 感じる。他にも、さまざまな形の一対の靴が多数、ガラスの破片、むき出しの扉とその上で動いているカラスなどのオブジェが、微妙な感覚のバランスを保って 配置されて、独特の勅使川原でなければ決して構成することのできない、美的に緊張した空間を創っている。

  ガラスの破片が突き立った机の前に座り込んでいたダンサー(勅使川原)が踊る。激しい音響。自己が崩壊していくプロセスが、宇宙が滅亡していくイメージと 重なるかのようなダンス・シーンである。一人の人間の解体により、空間が質感に変っていくプロセス、といったらいいのだろうか。
鮮烈な美しさがたいへん印象的な舞台であった。
(9月10日、神奈川県立青少年センターホール)