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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2005.08.10]

●小林紀子バレエ・シアター『The Invitation』(日本初演)ほか

第81回の公演は、日本初演となるケネス・マクミランの初期作品『The Invitation』を中心に、同じマクミランの『ソワレ・ミュージカル』と『Raymonda Act III』(演出・振付:J・リンコン&P・アルモン)を前後に置いた見応えあるプログラムだった。

1960年に初演された『The Invitation』(音楽:M・セイバー)は、庭の裸体彫刻を布で覆うような性が抑圧された環境の中で、 異性を意識し始めた純真な少女といとこの少年が、パーティーに招かれた倦怠期の夫と妻にセックスの洗礼を受ける物語。 まず少女の島添亮子と少年の後藤和雄が淡い恋心を初々しいデュオで伝え、夫のパトリック・アルモンと妻の大和雅美は冷めた関係を誇張した身振りで表した。 夫が少女への関心を露骨に示せば、少女も夫の気を引こうとし、妻は少年に誘いをかけ、起こるべき出来事を予感させた。 圧巻は夫が少女を犯す場で、少女の大きく開かれた脚が夫の胴や脚に絡んで揺れる様が痛ましく、少年と前のように向き合えなくなった少女の悲しさが浮き彫りにされた。 踊り手では、体当りで少女を演じた島添と、彼女を支えたアルモンが際立った。 雌鶏をめぐって争う雄鶏を踊った冨川祐樹と中村誠も、欲望を挑発するような大胆な脚の振り上げで異彩を放った。 マクミランのスピーディーな物語展開と巧みな心理描写が息づいた舞台だった。

同じマクミラン作品でも、祝祭的な雰囲気に満ちた『ソワレ・ミュージカル』では、パ・ド・ドゥやアンサンブルで、ダンサーたちが典雅なクラシック・バレエの技を次々に披露して楽しませた。 最後の『Raymonda Act III』では、ライモンダ役の斉藤美絵子が難しいポアントの妙技を軽やかにこなし、ジャン・ド・ブリエンヌを踊ったロバート・テューズリーが、スケールの大きなジャンプや回転で盛り上げた。 群舞のまとまりも良く、バレエ団が着実にレベルアップしていることを実感させた。
(7月22日、新国立劇場・中劇場)