ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Tokyo <東京>: 最新の記事

From Tokyo <東京>: 月別アーカイブ

関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2005.06.10]

●アルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアター10回目の来日公演

 アメリカの文化を代表するモダンダンスのグループ、アルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアターが、6年ぶり10回目の来日公演を行なった。 周知のように1989年にエイリーが没してから、芸術監督のジュディス・ジャミソンと監督補の日本人、茶谷正純が協力してカンパニーの運営にあたっている。

今回の公演はS, A, Bのプログラムだった。 Sプロでは、まず、ジャミソンとレニー・ハリス、ロバート・バトルの3人の振付家がコラボレーションした新作『ラヴ・ストーリーズ』。 スティーヴィー・ワンダー他の曲を使い、ヒップ・ホップやストリート・ダンスなどの動きを採り入れ、アフロ・アメリカン文化の新しいムーヴメントを求めるダンスである。 心に沁み入るような悠久のヒューマニズムを謳ったステージだった。

この『ラヴ・ストーリーズ』の振付にも参加している、パーソンズ・ダンス・カンパニー出身のロバート・バトルの『ジュバ』も興味深かった。左右にスリットの入った青いトップ。 腰を紐で軽く結んだ一人の女性ダンサーと三人の男性ダンサーが、パワフルなサウンドで細かく激しいリズム感が溢れる動きを展開する。 音楽のエネルギーを身体にキープして、リズムの中に解放していく。人間の共生を確かめ合い、やがてはトランス状態に導かれていくかのようなダンスだった。

『ラヴ・ストーリーズ』

デヴィッド・パーソンズの『コート』は、たいへん人気のある作品。モダンダンスの作品で、これほど様々なカンパニーで上演されるものないだろう。 舞台を真っ暗にして、ダンサーがジャンプした瞬間にストロボを炊くと残像によって、ダンサーが宙空を悠然と飛んでいるように見える。 一種のトリックを使った小品だが、パーソンズはこれを武道家が空を飛んでいるような、ミステリアスな雰囲気の舞台として創った。 これが功を奏したのか、私は4回ほど観ているが、どこの会場でも喝采で観客にたいへん喜こばれている。クリフトン・ブラウンが豹のように軽やかな身のこな しで踊った。


『リベレーションズ』
『リべレーションズ』はこれはもう言うまでもない、エイリーのカンパニーというより、アメリカのダンスを代表する傑作である。 「悲しみの巡礼」「私を河につれて行って」「さあ、仲間たちよ、動け」などがアメリカ民謡とともに、エイリー独特の羽を広げた鳥の舞い降りるようなポーズ、 夢の中に浮かんだような白いパラソル動きなどが踊られ、素晴らしい美しい空間が舞台に描き出された。

いつものことながら、エイリーのカンパニーのダンサーたちの想像を越えるような、輝かしいエネルギーに満ちた身体には、ただただ感歎するばかりである。
(5月25日、東京国際フォーラムC)