ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2005.06.10]

●ザハロワ、ウヴァーロフが出演した新国立劇場の『眠れる森の美女』

 新国立劇場の『眠れる森の美女』は1997年に初演された。コンスタンチン・セルゲイエフの改訂振付版である。 演出にはオレグ・ヴィノグラードフの名が記されている。
スヴェトラーナ・ザハロワのオーロラ姫、アンドレイ・ウヴァーロフのデジレ王子という配役で観た。 ザハロワは1幕のローズアダージオのあたりでは、まだ少し頼りな気だったが、幕が進むにしたがって美しさが輝いた。ウヴァーロフは終始、王子の雰囲気を出し、自然と気品をそなえた踊りを見せた。
そして2幕、3幕にいたると、ザハロワとウヴァーロフとの息もぴったりと合い。最後のグラン・パ・ド・ドゥは、豪華絢爛の見事な踊りだった。
  前田新奈がリラの精を踊って、がんばっていた。全体に濃やかな演出と豪華な美術(シモン・ヴィルサラーゼ)、ダンサーもふんだんに使った堂々たる舞台だった。 しかし、どうも教科書通りというか無難に無難に、と進んでいくようで、イメージが飛躍していくような魅力はあまり感じられなかった。 山本隆之、寺島ひろみ、志賀三佐枝、真忠久美子も主役として出演していたが、ザハロワ/ウヴァーロフの日を観た観客には、 このロシア人二人だけの美しさが際立ったのでは、些か虚しい気持ちに成らざるを得ない。カラボスや青い鳥も外国人が踊っているし。そんなふうに感じられた、新国立劇場の舞台だった。
(4月29日、新国立劇場)