ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2005.06.10]

●牧阿佐美バレエ団の『ドン・キホーテ』

 アザーリ・プリセツキー、ワレンティーナ・サーヴィナ演出・振付による『ドン・キホーテ』は、1989年から牧阿佐美バレエ団のレパートリーとなっている。 今年は、セルバンテスの原作小説が発表されてから400年を迎えた年だそうだが、牧バレエ団の『ドン・キホーテ』は8度目の上演となった。
主役は、草刈民代/逸見智彦、田中祐子/森田健太郎、佐藤朱実/菊地研のトリプルキャストが組まれ、エスパーダはイルギス・ガリムーリンが通して踊り、 キトリの友人、街の踊り子、酒場の踊り子、森の女王、キューピッド、ボレロ、ファンダンゴなどもトリプルキャストである。私は草刈のキトリ、逸見のバジルで観た。

『ドン・キホーテ』の物語としては、ごくオーソドックスな展開でスパニッシュを始めとする様々なダンスが、華やかに色彩感溢れる表情でたっぷりと踊られる。
草刈のキトリは全編を通して美しい印象を残しているが、もう少し大胆な主張も欲しいような気もした。逸見のバジルは、美男ダンサーとして端正なダンスを無難に見せてくれた。 その他には、キューピッドを踊った橘るみが可愛らしかった。落ち着いた踊り慣れた感じで好印象を与えた。3幕のキトリの友人は青山季可と伊藤友季子で、しっかり観客を舞台に引き込む役割を演じた。

最も印象的だったのは、ボレロを踊った小嶋直也。パートナーは笠井裕子だったが、小嶋の柔軟性と表現力は際だっていて、舞台に立っただけで充分に存在感を感じさせた。
私は個人的には、たとえば菊地研のエスパーダなどを観てみたい、と思ったのだが、あまりそういったキャスティングはしないようだ。
(5月27日、東京文化会館)