ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2005.05.10]

●バレエ シャンブルウエスト『ジゼル』

『タ チヤーナ』や『ルナ』などの創作バレエで評価を高めたバレエ シャンブルウエストが、ロマンティックバレエの傑作『ジゼル』を上演した。 ダブルキャストのうち、同団の第一期生、吉本真由美が主演した日を観た。アルブレヒトは、負傷した正木亮羽に代わって逸見智彦が務めた。 芸術監督の今村博明と川口ゆり子による振付は、極めてオーソドックスなもの。上演を重ねてきただけに、全体によくまとまっていた。 吉本のジゼルは、安定した踊りで恋する恥じらいや喜びを溌剌と伝えたが、少々元気が良すぎた。体が弱いことをもう少し計算して演技したほうが良かったと思 う。 だがバティルド姫とのやりとりが素直だっただけに、恋人の裏切りを知った後の驚きや悲嘆が生きたし、またウィリになった後では、人間としての感情を押し殺 そうとしながらアルブレヒトをかばう気持ちを滲ませていた。 緊張のためか、バランスを取りずらかった所があったのが惜しまれる。

逸見は、身分を隠しながらも貴族の趣きを漂わせる。滑り出しは踊りに今一つ冴えが見られず、花占いで花びらの数を確かめてみせる場面では、ジゼルとしっか り目を交わして欲しかったりもしたが、徐々に調子を上げ、吉本をリードしていった。 ヒラリオンの井上欧輔は、切れ味の良いステップと実直な演技でジゼルへの思いをストレートに表わしていた。 ミルタを踊った山田美友は、ウィリの女王としての強靭さを良く伝えたが、腕の動きが硬い気がした。 ベルタを演じた延本裕子からは、ジゼルの母というより姉のような印象を受けた。メークを含め検討の余地はありそうだ。 なお、ロシアのヴァチェスラフ・オークネフによる美術は、黄色に色づいた木々の葉の装置が美しく、質素なジゼルの家などと相まって、落ち着いた雰囲気を演 出していた。

川口ゆり子


吉本真由美

吉本真由美、逸見智彦

(4月22日、新国立劇場・中劇場)