ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2005.04.10]

●コンドルズの『JUPITER』、H・アール・カオスの『神々を創る機械2005』

 ニューヨークのジャパン・ソサイアティで観客の爆笑を誘い(Dance Cube27号ニューヨーク・ダンス直行便にレポートあり)、アメリカ・ツアー2005を大成功させたコンドルズが、ロックンロールの殿堂、渋谷公会堂に初登場して『JUPITER』を上演した。

ステージから観客席の最後部まで五色のテープを、満艦飾よろしく張り巡らし、近藤良平がその中心を掴んでセリから登場する、という派手なオープニング。
かつては渋谷公会堂を超満員にした、リタイヤしたロックスターが、何かにつけてその熱いステ-ジにこころが往ってしまう、というギャグがおもしろかったし、現代の日本人の生態を英語で紹介するショーも大受けだった。

ダンサーのキャラクターを生かした、次々と繰り出されるテンポの良いバラエティ風の舞台に観客が同調して、会場の雰囲気をいっそうもり立てる。お馴染み の人形劇やCM仕立ての映像、もちろんダンスもあり、コンドルズならではの青春のキャンパスに戻ったような爽快なライヴ感覚溢れる、鮮やかな公演だった。 『JUPITER』は2000年のニューヨークに始まり、北米、南米、アジア、オセアニアなどで上演しつつ育ててきた作品である。
(3月15日、渋谷公会堂)

H・アール・カオスの大島早紀子振付による『神々を創る機械 2005』は、2001年に初演された作品をさらに進化、洗練させた舞台である。

脈打つ赤い血を連想させる深紅のワイン、真っ赤な薔薇、紅く煌めく花弁などに、人類の生命を象徴させて、真正面から現代と向き合ったダンスである。 「命」に襲いかかってくる、毒薬のような今日の様々な想念と格闘する白河直子の繊細でしなやかな身体。その鮮烈な動きの軌跡が、危機に直面している現代の 命の姿を、白日の下に曝け出す。

ラストシーンでは、煌めく赤い花弁と白河直子の身体が一体をなって昇天していくかのようであった。時代を切り裂くような大島の鋭い語り口が、いっそう明瞭に示された舞台であった。
(3月12日、東京芸術劇場中ホール)