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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.06.10]

●静岡に登場した「ロシア・バレエのスターたち」

静岡県舞台芸術センター(SPAC)が開催している第二回<ロシアの舞台芸術>では、「ロシア・バレエのスターたち」の公演が行われ、ボリショイ劇場とモスクワ音楽劇場ほかのバレエ団のスターたちが競演した。

まず開幕は、ボリショイ劇場オーケストラによるチャイコフスキーの「戴冠行進曲」の演奏。次に『くるみ割り人形』パ・ド・ドゥを、リリア・ムサヴァロー ヴァとアジャール・アフメトフのペアが踊った。ムサヴァローヴァはモスクワ音楽劇場の所属だが、アフメトフは98年にカナダのアルバータ・バレエに移籍し ている。静岡芸術劇場は、新幹線からものぞまれるグラン・シップと与ばれる船の形をした建物で、この公演は中ホールで行われたがなかなか落ち着いたつくり だった。オケピット越しでも、舞台と観客の距離が近く、ダンサーに親しみを感じさせる雰囲気がある。
『エスメラルダ』のディアナとアクティオンのパ・ド・ドゥは、オクサナ・クズメンコとドミトリー・ザバブーリンのモスクワ音楽劇場組が踊った。おおらかな のびのびしたバランスのよい踊りだった。続いてボリショイ劇場バレエのプリマ、ニーナ・セミゾーロワによるカシアス・ゴレイゾフスキー振付の『ロシア舞 踊』。ソロだったが、起伏に富んだ曲調に和した細やかな動き。ショールを使って繊細な感覚を見事に表現していた。

そして『白鳥の湖』の2幕、3幕のパ・ド・ドゥ。2幕の白鳥にはセミゾーロワ、ジークフリートはボリショイ劇場のマルク・ペレトーキン、ロットバルトは ザバブーリンだった。3幕の黒鳥はボリショイ劇場のアンナ・アントニーチェヴァ、ジークフリートもボリショイ劇場のウラジーミル・ネポロージニーである。 黒鳥はボリショイ劇場の巨大なプロセニアムが似合いそうな大型カップル。女性はちょっと強引さも感じさせたが、しっかりと決め、男性はむしろ爽やかな印象 であった。その辺がボリショイ流なのかもしれない。『くるみ割り人形』を踊ったムサヴァローヴァとアフメトフはマーラーの『アダージェット』。豹柄と薄い グリーンの総タイツのペアで整った身体性を見せる。振付はO・アライス。『海賊』パ・ド・ドゥはアントニーチェヴァとペレートキン、『ドン・キホーテ』 パ・ド・ドゥはクズメンコとネポロージニーのペアが踊った。ともにガラ・コンサートに定番の作品だが、ボリショイ流の力強いのびやかなステージが印象に 残った。(5月6日、グランシップ中ホール)